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ディスティニー

農道の突き当たりで犬達を放した。めいめい、好きな方へ散ってゆく。杉林の中でニイニイゼミが鳴いている。畦に腰かけてスピッツ達がフワフワと日差しを泳いでいるのをみながら、眠気に身を委ねた。昨夜はよく眠れなかった。日本時間の今夜遅くにかかってくるはずである電話のためである。この一週間、ずっとその電話について考え、準備してきた。いや、もしかすると私の半生は、この電話を受け取る為の準備であったのかもしれない。

川を海亀のように大きな亀が泳いでいる。こちら岸に上がろうとして私に気付いて引き返した。

「海亀だよ、海亀。こんなところに」

自分の声で目が覚めた。
スピッツの一匹は私の腰に、スピッツのもう一匹は反対側の足にくっついて眠っていた。
川向こうに観光客らしい車が停まっており、子供を連れた夫婦がこちらを見ていた。
私は鼻白んで立ち上がり、指笛を一つ鋭く吹いて歩き出した。山際の用水路で蛙を追っていた猟犬が全速力で合流してきた。
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by oglala-beads | 2014-04-30 12:32

自分の時間

工房前を整理して、その辺りに転がっていた木材を使って、小さなカウンターを設えました。
農村は、家に入るほどでもない来客が多いのです。
切ってサンダーかけてくっつけただけの15分仕事でしたが、今までこんなことすらする心の余裕が無く来ました。5月18日で丸4年。今年は畑も出来ているし、家の回りの草引きも。
ここでの生活だけでなく、オグララを始めて以来、自分の為に何かをするという事が無かったです。特に猟を始めてからは、常に鹿のことばかり考えて来ました。彼らにとって辛い時期には、知らず知らずに諸事自分を追い込んで戒めて来ました。
カウンターの中に座ってボンヤリと、誰の、何のためでも無い時間を過ごしていると、自分が欲しているのはこれ、誰も知らない自分、息を抜かせてくれる場所、人なんだろうなと思いました。でも、諸事、そう自分に都合良くいくはずがない。
ふと思い立ってカブを駆って、スーパーにビールを買いに行きました。
信じがたいかもしれませんが、私は外出した時は、大概アイスだのケーキだのを家に買って帰ります。自分の為にビールを買いに行くなんて、生まれてからあっただろうか。
皆、田植えの準備に忙しい。噴霧器で何やら撒いている。観光客のプリウス、ツーリングのバイク。電線にキセキレイ、ホオジロが子を呼ぶ。向かいの杉林にコジュケイ。今年はサシバが多い。コロもカレンもレディーも足元で寝ている。雨雲を破って光がさす。知り合いが通って手を振る。たまにしかアルコール呑まないのだからと奮発してキヨブタしたプレミアムモルツ。
きっと凄い贅沢に映るだろうし、実際そうなのかもしれないけど、まあ、そんな次第です。今日は自分をもてなそう。将来、エンマ様に、お前は鹿を狩る身な癖に、鹿が頑張っている時に贅沢したと怒られるだろうか。

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by oglala-beads | 2014-04-28 14:31

野性動物から見たレディー

先日村の人から、昼日中に大きな猪が村の真ん中を歩いていたという話を聞きました。時期が時期ですしあり得ないと考え、アナグマを見間違えたのかと思っていたのですが、跡を辿っていくと、どうもそうではないことが分かりました。この猪は山際の竹林界隈に居たところ、訓練中のレディーに見つかって追い出された様です。その後彼女は(雌だった様)川に逃げ込んでしばらく潜んでいた様です。レディーはそこで見失って私に回収された。その後もしばらく同じ場所で潜んでいたものの、川の方で作業に人が入って、また反対側の山への通路にも人が居た事から他に居場所が無かったという格好だった様です。気性の荒い個体では無いので事故が無く幸いでした。
この事から、私が思う以上に野性動物にとってはレディーが脅威である事が分かりました。また反面、農作業の人の多い時節には充分過ぎる注意をもって入れる必要を痛感しました。
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by oglala-beads | 2014-04-27 09:17

新緑の山は

ここ最近ちょっと体調を崩したりケガをしたりしている間に、もう鹿は出産しているらしく、割合明るい時刻に村の近くで鳴く様になりました。レディーが特定の地形で留まる様になりました。山に入れる地点を慎重に選んでいるのですが、昨日も見付け出してチョッカイをかけている様子だったので、病み上がりの重たい身体を引きずって「ほっとき」言いに上がりました。
例年だともう雄は角を落としきっている様に思うのですが、ここ最近角が残っている鹿がネットに絡んで処置を依頼される事案が多いです。
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by oglala-beads | 2014-04-25 07:49

It's got to be perfect................

昨日の夕方は冬空の様で、ああ今夜辺り鹿が動くな、そう思って程なく、裏山で親が子を呼ぶ声が聞こえました。しかし笑えないのがこういう日。案の定、日没まで30分というところで役場から止め刺し依頼の電話。この時期に鹿避けネットにかかるのは雌か小さな子供が主です。槍だったら時間的に余裕あるな(鉄砲は日没以降は撃てない)と考えていたら、槍は点検中のジムニーの中。慌ててとるものとりあえず駆けつけました。こういう時も軽トラは大変に便利でした。

その軽トラ、アクティーHA2の白には同好の士が多く、多くの方が格好良くカスタムやステッカーなどで飾られています。でも私はこの色気無い青が好きです。というのも私の中ではこの車は限りなく旧ソ連の匂い。ステッカーを貼るなら、座席後ろの窓にチェ・ゲバラのレタリング風。そして運転席横面にプーチン大統領のイラスト。アナログのAMラジオから流れる曲はジプシー民謡の「花の季節」などが似合いそうな空気感ですが、いやいや実際に聴くには、フェアグラウンドアトラクションのパーフェクト辺りが最高に思えます。

さあ、昨夜ジムニーの点検が終わったらしいので引き取りの準備をしながら、おそらく午前中来るであろう次の止め刺し依頼に備えます。
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by oglala-beads | 2014-04-04 16:08

新しい車(古いけど)

先日、神戸からの帰路、愛車のレガシーBG5が冷却水漏れを起こして、アクサのロードサービスのお世話になりました。神戸の修理工場に預けて、保険会社が用意してくれた代車で豊岡に帰りながら、なんとなく今回こそはもう駄目かもしれないと思いました。一昨日、出来上がった車を引き取りに行った際、良心的な工場でしたが、そろそろ寿命が限りなく近いですよと忠告されました。
古い車にとっては、六甲越え、有馬街道は最も難所です。まともに行ったら危ないかもしれないので、夢野から旧西神戸有料を経由して鈴蘭台に出るコースで、なんとか騙し騙し豊岡まで帰宅しました。
ところで今春から、私は結構車を使うことになります。そこで山車のジムニーを一度点検整備しておいてもらおうと、但東の行きつけの車屋さんに持って行って、その旨を伝えました。

「岡居さん、正直、もつかどうか、分からんで」

ああ、ジムニーもかいな。なんぞ私のフトコロと使用具合に合う、安心して乗れる車ないやろか?
クーラー無いけどいい?
それは私がずっと欲しかった、ホンダのアクティーHA2でした。
しかも安くしてくれた上に、支払いも優遇してくれました。
田舎では信頼関係は宝物と実感しました。
私が普段から町の公共交通のボランティア運転手とかしているので、応援してくれたのだと思います。

ああレガシー。9年乗りました。婚約と同時に7万キロで購入して、ずっと夫婦と共にありました。今では15万キロ。途中コロが来て、カレンが来て、福ちゃんが来てレディーが来て。引っ越しでも大活躍。田舎物件探しでは一緒に兵庫じゅうを走り回った。
多分に情緒的で、道具も家族同様な私にとっては、どんな別れでも悲しくないはずがない。

車検は来年の10月まで。それまでにどれだけの事が出来るか。
せめて新しい出会いは笑顔で写真に撮っておく。
悲しい事がよそであっても、一緒に居る時は、ずっと笑って、笑わせていたい。

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by oglala-beads | 2014-04-03 10:40