<   2013年 10月 ( 4 )   > この月の画像一覧

動物避けネット

山村では、山際に動物避けネットを張っている所が多いです。近年はそれに電気柵を追加している村がほとんどです。
それぞれに一長一短があり、管理が必要です。

この動物避けネットというのは大体が海苔の養殖網の再利用であり、高さが180cmしかありません。この高さではほとんどの大人の鹿は飛び越せる上に、ネットにはステンレスの糸が編み込まれているとはいえ、うちの猟犬でも一噛みで切れてしまう様な強度ですので、イノシシや熊にとっては何の障害にもなりません。
また山という地形上、ネットの下端を完全に沿わせて潜らせないようにすることは、管理するものにとっては非常な労力であり、過疎化するほど、高齢化するほど、村にとっては大きな負担となっており、動物の侵入を許す結果となっております。
まずは以上を踏まえて下さい。

初夏。子鹿が産まれ、母親について歩ける様になると、母親は山の色々を子鹿に教えて回ります。その中には、山から山への渡りや、人里界隈の利用の仕方も含まれます。ですので、山里で暮らしていると、この時期に最も、メス鹿が注意を促す際に発するピっという声を夜に聞くことが出来ます。

この時期、小鹿にとって動物避けネットの潜り方、越え方というのが、非常に大きな試練となります。この時期はだいたい大きな群れを作らず、せいぜい数頭で子を引率しております。親がネットを越える際、この時期の親は大概がネット下を潜るのですが、ネット向こうに居る母親を見て、焦った子供が無理にネットに当たっていって、足や首が絡まってしまい身動きがとれなくなることがあります。

また、母親がネットを飛び越えて畑などに飛び込んでしまい、行きは子供も飛べたものの、出る際は足場の悪さ等で子供のみ出られなくなることもあります。

夜のうちに、こういった次第で身動きがとれなくなった子供は、人の目に触れやすい場所なら人の手で処分されます。つまり、我々駆除班員によって殺されます。
人の目に触れにくい所だと、そのまま飢えて死んだり、熊や狸やテンに襲われて、生きたまま内臓を食べられる事になります。

そんな試練を乗り越えた後は、秋までネット際は少々平和です。しかし秋になり、鹿が発情期に入ると、今度は立派な角を持つ雄鹿がこのネットに引っ掛かって命を落とします。

鹿の交尾は極めて乱行性であるうえに雄は多数のメスによるハーレムを作ります。そしてそのメス達を囲い込み続けるため、メスの群れの回りを回って、ハーレムの囲い込みと他の雄の侵入を阻止するのに腐心します。その間は食事もまともにはとっていません。
その結果、普段は雄は降りない里に降りたり、行動範囲を広げてしまうことで、ネットを越える機会が増えるため、立派な角をそこに絡めてしまいます。
このケースでも、彼を待つのは死のみ。

ここ数日の間、朝の電話はほぼ彼らの殺処分の依頼です。

私に殺される動物は幸せだとよく言われるのですが、私はそう言われることに強い嫌悪感を覚えます。
彼らが死にたいなどと願っているはずはありませんから。
しかし、死後の供養等はともかく、少なくとも死の執行人として私が遣わされる鹿は、最小限の苦しみで済む分は幸せかもしれません。
処分を依頼してくる農家の中には、それを分かって私を指名してくるところも増えてきました。

農家にとっては害のある生き物ではあっても、それを見るのは辛いものです。
農家自身の苦しみを癒すためにも、ネットで落とした命に手を合わせる日、機会を市町村が設定してはくれないだろうか。私はそう願っています。
[PR]
by oglala-beads | 2013-10-23 21:58 | 共生のサイン

嫌な出会い

なんとなく予感がしてレディーを呼び戻す。頭をなぜてやりながら予感の正体をさぐるべく神経を集中させていると、100mほど向こうの樹から、熊が枝を折る音が聞こえてきた。
レディーもそんなに馬鹿ではないし、熊も追いつめなければ怖い動物ではないと思う。もう既に数えられないほど山で熊に会って、その内の何度かは追いつめた熊だった。しかし向かってきたのは2度だけ。しかも威嚇だけだった。
でも、この個体とはあまり会いたくない。何故かそんな気がした。
[PR]
by oglala-beads | 2013-10-15 10:16 | 共生のサイン

蜘蛛の糸

猟犬レディーのここ1ヶ月の散歩は、熊の来る柿の木の見回り。お陰でレディーが周回している場所の柿には、熊があまり来ない。数日そのコースを歩かないようにしていると、ようやく遠慮がちに登っている。

最初、熊が落とした柿に口をつけたことから、レディーは柿に執心するようになった。まだ青く充分に渋かった頃からである。そういった次第で、柿の木に来ている熊を見回っているというよりは、純粋に柿を食べることが彼女の目的である。

今年は山の実りに余裕があるらしく、あまり柿を食べに熊が降りてこない。例年なら8月のお盆過ぎから青い柿を食べに来はじめる。どちらかというと青いうちに食べておいて、渋さが抜けてきた頃からは食べに来ていない印象がある。私は夏の間の昆虫食で増えた寄生虫を殺す作用で渋(タンニン)が食べたくなるのだろうと理解している。
今年も青いうちから食べてはいるが、例年の様に同じ柿に集中して通い、食べ尽くすと言う事がなかった。気紛れにダラダラと食べに来る印象である。

何となく余裕があり、お陰で選り好みをかなりしてくれたので、熊の味覚と柿の優先順位とをよく観察することが出来た。そして、レディーも、その折々に熊が登っている柿の木の実を喜び、熊が手をつけない柿の木の実は嫌がって食べていないことに気付いた。

さて、レディーが周回しない場所に大きな柿の木があって、それが電気柵の外側に位置しているので、通常なら喜んで熊は来るはずである。ところがその樹には来ていない。何故だろうと思いながらも観察が後手後手に回り放置していた。村の年寄と話をしていた際に違う話から「柿も大きく古くなってしまったら実をつけん様だ」という合点が年寄の口から出た。
なるほど、そういう事だったのか。

一回の散歩で、だいたい3つの柿の実をレディーは食べる。そのせいか食べつきが悪いので、ドックフードの量を運動量に比較すると控えている。
栄養バランスなどの意味では体に悪いのは分かっているのだが、犬も熊も雑食性であり、そういった偏った食生活を続けることでどうなるのかには興味があった。一応ドックフードも体重に対する基準量は食べているので(レディーの運動量は通常の犬の数倍、下手をすると数十倍なので普段のドックフードの量は体重に対する基準の倍以上である)、柿に偏食しているのを許していた。
その状態で1ヶ月が経ったが、レディーの身体は非常に目覚ましく変化した。
元々筋肉質ではあったのだが、更に凄まじく筋肉量が増え、四肢に力がみなぎっている。うっかりすると私が力負けする事すらある。
必要なものを美味しく食べて、熊も冬に備えているのだ。柿なんて栄養無かろうにと思っていたが、全く考え違いをしていた。

村の小道を歩いていると、シバグリがそこかしこに落ちている。雄鹿の遠音が聞こえる澄んだ朝は、村は雲海の中で眠っている。雲海の通りすぎた後はクモの巣に水滴が絡まって、まるで夜のうちに悪い夢、私の愛しい者に仇なそうとした邪悪な心をもつ夢たちが、昇華してゆく様を見るようだ。昔のインディアン達がここからドリームキャッチャーを造り出した想いが、とてもよく理解できる。

順序が逆だが、カンダタを昇華させようとお釈迦様が垂れたのは蜘蛛の糸であった。
[PR]
by oglala-beads | 2013-10-07 14:50 | 共生のサイン

カーハートと5.11タクティカル

昔から本ブログを読んでらっしゃる方は、私の好きなズボンといえばカーハートのダブルフロント、ダンガリーカット。インシーム32でウエスト28。色はカーハートブラウン。覚えてらっしゃる方もおられるかと思います。ところがこれ、サイズの問題で日本で購入するのが難しい。そこで海外通販で取り寄せていました。
手持ちの5本が大分ボロボロになってきたので、次のをと春先にいつもの店のウェブを開くと、日本には発送出来ない商品に入っていました。
このズボンの良い点は、右のツールポケットに熊スプレーのカウンターアソルトがぴったりと収まり、左のツールポケットには大型のビクトリノックスが収まり、しかも通常のカーゴパンツのポケットに入れた重量物の様に暴れないこと。そして生地が厚い割には絶妙な太さによって、歩きやすく邪魔にならないという動きやすさです。
でも入らないのでは仕方が無い。追々出荷してくれる店を探すとして、今年は気になっていた他メーカーのズボンを試す事にしました。
それが5.11タクティカルのもの。テフロン加工されたリップストップのタクティカルパンツでした。実際に春先から履いています。

正直なところ、やはりカーハートに軍配は上がります。5.11もポケットは多いものの、私の使用方法ではどれも今ひとつでした。ただ、背面ポケットがスラッシュになっていて、上にカラピナがかけられるベルトが通してあるのは非常に使い勝手が良かったです。
5.11タクティカルの方の最大の問題点は素材で、夏場は暑いし汗で貼り付いてしまい、とても歩きにくいです。

しかし、これが冬になって、特に雪が降ると逆転するかもしれません。5.11はテフロン加工されているので、多少の雨なら弾きますし、何より血がついてもすぐに拭いておけば染みになることも防げます。その時期になれば熊スプレーを持つ事も無くなりますし、雪の中で腹這いになって鹿を待つ時にも効果があるでしょう。ましてやその時期はアンダーウェアを着るので、そうなるとこの素材特有の滑りの良さによって、膝の引きつりも感じなくなると思います。
また、左フロントポケットにガーミン、右フロントポケットにカメラ、通常のポケットに弾、カーゴ部分に防水袋に入れた許可証等、使い勝手も非常に良さそうです。

今年も猟期まであと1月半です。装備も含めて、心構えや、今年はどうやって攻めるか等、今までとは少し違った事をやろうと考えているので、準備も本格的になってきました。

e0114922_710057.jpg


画像は5.11タクティカルのウェブから。
[PR]
by oglala-beads | 2013-10-04 07:11