<   2011年 03月 ( 4 )   > この月の画像一覧

宿命

3回目の猟期を終えました。今年も猟期中は納期が遅くなる等、またプライベートに関しては連絡がとれなくなる等、御迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
去年までは、こういった猟期中の仕事の遅れ等に対して、次回どうやって対処するか、を課題に挙げていましたが、今回は逆に、来年からは猟期中は猟以外の仕事をストップすることを考えています。僕の求めている皮は雪が降るまでの間でないと獲れない事が今猟期で分かり、来年からの僕の猟期は実質一ヶ月ほどになるので、それも充分現実的な選択だと思われます。

今猟期はほぼ完全な単独猟だったので、撃ちたくないものは撃たない、という非常に心の負担の少ないスタイルで、言葉は悪いかもしれませんが、心のままに猟が出来たと思います。それでも猟期の始めから終わりまで、まんべんなく、結構な数を獲る事が出来ました。
何十もの臨終に立ち会いました。
首の骨の、頭の付け根際を狙って撃ちます。そこを撃たれた鹿は、その瞬間動けなくなります。痛みも何も感じず、何が起こったか分からないままに死ぬ、と聞いた事がありますが、実際のところは分かりません。
首の骨に当たっていても、動脈に当たっていない時は、5分ほどは生きている様に思います。動脈に当たっている時は、1分以内で息絶える様です。
足場を確認しながら、ゆっくりと、この世での最後の闘いをしている彼らに近づきます。長い闘いになりそうな状況の時は、後ろからそっと首を抱き上げ、旅立ちを早めますが、たいていの場合、僕が着いた時には、最後の闘いの瞬間なので、そっと見守ります。
身体の大きさの割に、小さな、可愛らしい尾が震えながらギュウーーーーーっと持ち上がり、やがて魂がそこから遍く広がってゆくかの様に、力が拡散されてゆきます。
ひとつ一つの死を、はっきりと覚えています。毎回、獲るまでの高揚に比べ、なんでこんなにと思うぐらい、心が重く暗くふさいでいきます。

猟をするため、彼らの生態を勉強するうちに、彼らのことが大好きになりました。見た目、星と交信するかの様などこまでも美しく澄み渡った鳴き声、匂い、体温の温もり、明るくてズボラで、臆病で強がりな性格も、愛おしくて仕方ありません。
そうっと後ろから近づいて、何喰わぬ顔ですぐそばを素通りしてやった時の彼らの顔といったら!

自分の運命を呪ったものだし、誰とも意見が合わなくなって、孤立してゆく自分を感じていました。でも、こんな新聞記事を、工房の改装中に偶然見つけました。


神戸新聞 2007年3月29日(木曜) 18面文化欄
「文人往来」湯川豊さんが語る星野道夫〜他の生命を奪い生きる〜より抜粋

 アラスカ先住民の考えを発展させた星野が、神話や物語の発生の秘密に気がつく文章がある。他の生命を奪って生きざるを得ない事が生命体の約束だと書いた後、「約束とは、言い換えれば血の匂いであり、悲しみと言う言葉に置き換えても良い。そして、その悲しみの中から生まれたものが古代からの神話なのだろう」と星野は記す。
 他の生命を奪って生きる悲しみ。そう生きる自分もやがて死んでいく。
 「人の生と死の一番裸の形。血の匂いと悲しみの中を人が生きていくうえで神話や物語が必要だったという発想は最高レベルの物語論ですよ」(以下略)
 「でも星野は孤立していない事に最近、気付きました」と湯川さん。童話作家の神沢利子さんの「同じうたをうたい続けて」を読み、その中に紹介されていた宮沢賢治の「なめとこ山の熊」と神沢さんの出会いを知ってからの思いだ。
 「なめとこ山の熊」は貧乏な猟師が熊と友達になりながら、だが熊を撃たなくてはならない宿命の中にいる話。神沢さんはこれを読んで、人の生命のもとは他の生命を殺して摂取する事だと理解。そこから北方狩猟民族的宇宙観や生命の循環を直感したという。
〜以下略〜
[PR]
by oglala-beads | 2011-03-29 20:27

requiem

長かった猟期が明けて、久しぶりのビール。
他愛も無く眠りに引き込まれた。

夢の中で、歳をとった自分がベットに寝ている。
周りに何人かの人がいて、僕の手を握っている。

「向こうに行ったら、コロちゃんに会えるね」
「ああ、会えるなあ。楽しみだなあ」

まるで彼の死を指折り数えている様だ。
一日一日を数えては溜め息をついている気がする。
沢山の愛するものを見送った。
その度に、心の中に、鍵のかかった引き出しが増えた。

コロを失ったら、どうやって生きていけばよいのだろう。
何を楽しみに、何を頼りに生きていけばいいのだろう。

愛するものを失った人々に、一体どんな言葉が。

e0114922_2301759.jpg

[PR]
by oglala-beads | 2011-03-17 23:03

色々と悔やまれる

今朝起きたら、鹿は動かなくなっていた。
布団に包まれた身体は、まだ温かだった。
もっと面倒をかけてほしかった。
[PR]
by oglala-beads | 2011-03-04 18:14

春の雪の日

昨夜、野犬化した猟犬に襲われていた鹿を保護した。
生きるため、というよりは遊びで襲っていた様だ。
左の脇の下を噛んで動きを止めて、背中か横腹を破っている。
食べた跡は無い。
今朝、村のあちこち、そんな鹿の死骸を、雪がそっとつつんでいた。

e0114922_19422395.jpg


e0114922_19414724.jpg


e0114922_19433193.jpg

[PR]
by oglala-beads | 2011-03-03 20:04