<   2010年 10月 ( 9 )   > この月の画像一覧

ドリーム・キャッチャーが教えてくれたこと

ドリームキャッチャーを合計で3つ作りました。ワク用の蔓はまだあるのですが、腱が無くなりました。
御注文はメールか電話にてどうぞ。うちの商品にしては珍しく、当然ですが、即納です。
0796-20-3089
oglala@ares.eonet.ne.jp

Oglala Dream Catcher A   1万2千円(送料込み)
e0114922_11422410.jpg

ドリームキャッチャーは、作った事のある方ならご存知の通り、作るの自体は難しいものではありません。もっとも簡単なインディアン・クラフトの部類でしょう。

むかし、神戸で、今と同じ”OGLALA”という屋号でラコタ・クラフトの店をやっていた時、割合沢山の弟子が居て、各自の得意な細工を作らせていた時期がありました。これらは販売用というよりは、ラコタ・クラフトを広めたいという事でやっていた諸々の一つでありました。
それらの作品を店で飾っていると、たまにお客さんから是非にと請われる事があり、そういう時は、その作品の素性(ラコタのものでは無い事等)を説明した上で販売することもありました。
ただ、店も後期になると資金難や諸々(詳しくはFUNNYさんのウェブの僕のインタビューをご覧下さい)あって、ラコタの作品を仕入れる事が難しくなっていき、弟子や僕の作ったものを売って、ラコタの良い商品をちょっとだけ仕入れるという状況になっていきました。

その後、僕は店を畳んで制作に専念することになります。その時についてきた弟子が2人。一人は僕が最も大切にしていた岡本君。とても良いセンスの持ち主でありました。折から、ワールドフォトプレス社がインディアン・ブームを、路上のガムのように噛み捨てて、過去のものにして葬った影響を被り、僕自身が食べるに必死な上に将来の展望が見えない状態だったので、離れる事を選択させました。そしてもう一人が、今も僕の弟子・・・というより同僚であり配偶者でもある由紀です。

店で弟子達の作品を扱っていた当時、ビーズが向いていない人達にはビーズ以外の作品を教えていましたが(中にはウォー・ボンネット専門の人もいました)、始めに教えるのが、他ならぬドリーム・キャッチャーでした。
ドリーム・キャッチャーは作り手の性格が非常によく表れるので、出来てきた作品を見て、弟子の今後を考えていました。不思議と、ラコタを体験したことのある人〜僕が連れて行った人〜達はウワベだけ綺麗に飾ったものは作らない傾向がありました。あれは不思議なものだなと今でも思います。

Oglala Dream Catcher B   1万2千円(送料込み)
e0114922_11453558.jpg

さて、弟子達の中には本当に見事なドリーム・キャッチャーを作る人もいました。中でもケンタロウ君は現地のコンテストでもブルー・リボン作家以上の、非常に巧みなドリーム・キャッチャー作家でした。残念ながら若すぎた彼を僕が上手く導けなかったため、一定のテクニックだけを身に付けて飽きてしまい、自然に去らせる結果になってしまいました。

ところで僕はといえば、まあお世辞にも「綺麗!上手い!」と言えるドリームキャッチャー作家ではありませんでした。それは今もそうです。というよりも、上手く綺麗に作ろうとは鼻から考えていませんでした。
なのにどういう訳なのか、必ず僕が作ったのから売れていき、弟子達の作ったものはいつまでも残ってしまうので、皆本当に不思議がっていました。もちろん誰が作ったかは実際にお客さんから問い合わせがあってから教えていましたが、そうやって手にとられるものは僕が作ったものばかりでした。当時の事を由紀もよく覚えていて、「当時は不思議だったけど、今は何となく分かる。ああいうものを作らないといけないなと思う」と言っています。

僕が最後に作ったドリームキャッチャーは、友人の美容室の待ち合いに飾る特大のものでした。ニュージーランドの大鹿の革を、実に半分も使った贅沢なものでした。ワクは番線を使ったので形が真円に近く、それに合わせる為にネットも僕にしては割合綺麗に張りました。相当気合いを入れたのを今でも覚えています(阪急電鉄「門戸厄神」駅近くのRed Hairで、そのドリームキャッチャーは、今も出迎えてくれます)。それで力尽きたのか、それ以来、今回のornament featherとドリームキャッチャーまでは、県のイベントで頼まれたワークショップ以外では制作していません(そのワークショップでも、作った後にネットを切ったので現存していません)。

久々に作るドリームキャッチャーは、すべて自分で”作った”材料だったこともあると思いますが、楽しい作業でした。
それは材料以前に、当時、なんで自分のだけが売れたのか、その理由が作りながらよく分かったからでした。
当時から、今まで、僕が大切に考えているものは、まったく変わっていませんでした。

実は店をやっていた当時、僕は僕で驚いていたのです。作品に込めた心、というのは、それを必要としているお客さんに伝わるものなのだという事に。必要としている人のところに、必ず行くものなのだということに。

Oglala Dream Catcher C   1万2千円(送料込み)
e0114922_11462781.jpg

[PR]
by oglala-beads | 2010-10-26 11:49

アナグマ

こう毎日、熊を見ていると、居るのが普通で、見なかったり気配がなかったりすると心配になる。
猪もよく見る。畑でなんだかんだやっていて、コロが怒っている。情けない話、僕はそれでやっと居る事に気付く。
熊や鹿は僕の方が先に気付くので、彼らに比べると猪の方が匂いが強いのかもしれない。

匂いといえば、昨日は家の床下にアナグマが入り込んでいた。
今年はアナグマが多いと聞いていたし、家の周りでも跡が多かったのだけど、生きているアナグマを今まで見た事が無かったので、懐中電灯を照らした配偶者が「あ!アナグマ!」と叫んだ時はときめいた。
鼻が詰まっているので分からなかったが、どうも匂いがキツイらしく、コロと配偶者は彼(彼女?)が居る事を非常に嫌がったので退散してもらったが、本当に可愛かった。こんな動物が日本の山野に居る事がとても嬉しかった。
なんとなくランボルギーニのミウラに似ている。小学校の時、このスポーツカーが大好きだったな・・・

実は家の近くにアナグマの巨大地下帝国があるのを知っている。観察していると非常に面白い。時々、ものすごい量の土砂を巣穴の外に運び出している。
[PR]
by oglala-beads | 2010-10-25 20:09

OGLALAのdream catcher

ornament featherのお問い合わせを頂いた皆様、有難うございます。また「超かっこういいね!」の言葉を下さった師匠をはじめ、お褒めの言葉を下さった皆様、有難うございました。時間をかけて自分のものになった時、はじめて良さが分かる(自分自身に見えてくる)様に作ったつもりなので、写真から受ける評価は低いだろうと、正直言うと覚悟していましたので、おひとりおひとりの言葉が深い自信になりました。
残念ながら再制作等の予定はありません。


その代わりではありませんが、今日はドリームキャッチャーのご案内です。

e0114922_1933459.jpg


今回のornament featherで、どうしても必要があったので、久々にドリームキャッチャーというものを制作しました。
ドリームキャッチャーは、元々はラコタと色々と因縁と悶着のあったオジブワ族が発祥との事らしく、僕はそんなに好きでは無いのですが、ラコタのクリスチン師匠曰く、「色々な部族が色々な部族の伝統を取込んで(「盗んで」と師匠は言っていましたが)現在があるんだから・・・。ティピだってあんた、ラコタのもんじゃないからね。もともとは」と丸め込まれて、夏のシーズンに居留地の露天で売るドリームキャッチャーの制作をよく手伝わされたものです。
「悪い夢は邪悪で物事を広く見る事が出来ないからネットに引っ掛かって通れない。良い夢は邪心が無いため、ネットの穴を抜ける事が出来る。ネットにかかった悪い夢は、夜明けの太陽で、朝露と共に消えてしまう」という、いかにも森林帯を生活の舞台にしていたオジブワ族らしい言い伝えですが、僕自身が今、森林帯で生活していて、朝の散歩の際に、昇って来た太陽が朝露をたたえた蜘蛛の巣を照らすところは、ドリームキャッチャーの神々しい言い伝えを確かに思い起こさせます。
都会では薄いものになってしまった、太陽や、闇が、ここでは非常に濃い力を持っているのです。
そんな心境の変化があったためか、もしくは全て自分が調達した素材で作ったためか、久々のドリームキャッチャー作りは予想外に楽しかったので、材料が残っているだけ、作ってしまう事にしました。


ワクは、残念ながら不勉強で名前はよく分からないのですが、去年親戚の手伝いで山に間伐に入った際、伐採した樹に絡み付いていた蔓を一年かけて干したものです。ネット糸は去年僕が完璧なネック・ショット(首撃ち。撃たれた瞬間に意識を無くすらしく、一番獲物の苦痛が少ない。ただし心臓等に比べると的が小さいので狙うのは難しい)で獲った大きなオス鹿の腱。つまりイミテーションのシンニューではなく本物のシンニュー(腱)です。
e0114922_19494.jpg

ご存知の通り、腱は短いので頻繁に繋ぐ必要があります。まあ、そうは言ってもネット張り自体は本物のシンニューだからといって、そう難しいものではありません。材料の制作、つまり死んだ鹿から腱を取って、それを糸にする作業も、面倒くさいので根気は多少要りますが、そう難しいことも無いです。
使用している羽根はornament featherに使用したミサゴの次列風切羽根。芯の部分にアンティークのヴェネチアン・ビーズのクリア・パープルを巻いています(ペヨーテでは綺麗になりすぎるので巻いているだけです)。このビーズを巻いた下地と、羽根の加工に必要な接着剤は、家の松のヤニ、つまり松脂を使用しました。
e0114922_1944242.jpg

制作数は材料次第ですが、多分あと2つは作れそうです。つまり写真のものを含めて計3つですね。あとの二つは出来上がり次第、写真をアップします。天然素材なので一つ一つ大きく形が変わるため、写真そのものの作品を販売することになりますので即納です。残念ながら今回も制作数が少ないので卸は非対応。送料込みで1万2千円です。ドリームキャッチャーは確か100円均一でも売っていたと思いますし、安くても高くても、自分自身がそれに愛着さえ持つ事が出来るなら「効果」に変わりは無いと僕は思います。もしくは車用品の店に行けば、芳香剤入りのが売ってます。残念ながら僕のは動物のパーツを使っているので(充分処理していますが)、湿度と温度が極端に高くなると、ちょっと生臭い匂いすら、嗅覚の非常に優れた方なら感じるかもしれません。それでもOGLALAのじゃないと・・・という方にだけ、おすすめします。


編み上がったネットの余り糸は切らずに長いまま残しています。ネットの裏に回したり切ったりして目立たなくしても良いですが、出来たらご自身でお気に入りのフェティッシュや石等を飾ってみて下さい。そうやって自分のものにしていく、ドリームキャッチャーはそんなものだと考えます。

御注文はメールにてお願いします。oglala@ares.eonet.ne.jp
[PR]
by oglala-beads | 2010-10-24 19:05

Ornament Featherの制作完了

Ornament Featherの納品が完了。
5個入った注文のうち、2つをキャンセルにして頂いて、合計で3つ作った。
理由は、お二人とも「心のこもったインディアンものが欲しい」というリクエストだったからで、特にこの商品に関しては、日本人である僕の作品的な面が強いので、説明してご理解頂いた。

ミサゴの羽根は最初にまず洗浄することから始まる。ミサゴだけでなく、大概の野生の鳥類の羽にはダニがついている。特に病気等で弱ったものには沢山ついている。厄介な事にこれらのダニは羽根の柔らかい筋の一本一本の中に入っているので、表面的に見ても慣れた人で無いと見つけられない。
アメリカで売っているターキーの羽根の場合、乾燥機や薬品で処理するのでこういう処理は必要無い。
今回は4回程スモークをかけた後に真空保存して全てのダニを死滅させた後、念には念を入れて冷凍した。
その後、羽根を光に透かし、古歯ブラシを使って丁寧に毛筋の一本一本を割って死骸を取り除く。
更に念を入れてピレスロイドを全体にかけて洗浄。
最後にオキシドールで洗浄した後、水で洗うという徹底した作業だった。
e0114922_22233347.jpg

次に使う羽根の選別だが、一枚は初列風切羽根で大きなもの。先の部分が大きくえぐれているのが僕の好みなので、一匹の猛禽の片方の翼から、5枚程度しか取れない。限定5枚にしたのはそれが原因。
小さい方の羽根は次列風切羽根で、こちらは太いバレルがハッキリ入っているものだけを使用した。
この2枚の羽根のマッチングがなかなか難しく、また楽しい作業だった。というのも、合うコンビというのは、本当に一つしか無いからだ。この羽根にはこれ、というのが必ずある。それが不思議で面白かった。
e0114922_22252730.jpg

それぞれのornamentには、それぞれのテーマを決めて制作しようとした。

一つ目は、初めてのお客さんだったが、非常にイメージしやすい自己紹介を頂いたので、極めて客観的に自分を置く事で明確な肉付けを作る事が出来た。「団結、独立、包容のバランス」をメインテーマに置き、カスタネダのドン・ファン・シリーズの第一巻に出て来る「トカゲの呪術」でそれを表した。
e0114922_2229257.jpg

残り二つは良く知っているお客さんだったので、実は余計に難しく、テーマを決めるだけで机の前で唸り続けるだけの日が何日も続いた。何となくイメージは湧くのだが、それで作り始めて迷ったら終わりなので、手に触れるまで待った。結果的に一週間図鑑を見たりして過ごした。
その結果、特別な意味を自分で考えることをやめた。その分肉付けを作る事が自分では出来なかったので、その部分を持ち手に委ねる事にしてシンプルにまとめた。
サブテーマは二つ目がドリームキャッチャー。
e0114922_2229384.jpg

三つ目がタートル。
e0114922_22301063.jpg

三つとも、作っていて多いに楽しかった。それが現れていると思う。
今回作った各「トカゲの呪術」、「ドリームキャッチャー」、「タートル」はいずれもそれぞれを羽根から独立した形で制作しての販売を考えた。
トカゲの呪術とタートルは両方ともアミュレット(人形)で、アンティーク・ヴェネチアンを使ったもの。一つ一つ形を変えての制作であり、出来上がったものをウェブ上で販売する。
ドリームキャッチャーは、僕が去年、山で間伐の時に絡まっていた蔓を解いたものを枠に使用し、糸は去年僕が獲った大きなオス鹿の背中の腱を使用する。飾りとしてペヨーテを施さないミサゴの次列風切羽根等を使用する。これも出来上がったものをウェブのみで販売する。
[PR]
by oglala-beads | 2010-10-20 22:30

冷えた朝の出来事

昨夜、少し前に触れた日本ツキノワグマ研究所の米田先生へのファンメールをようやく書き上げて送信した。すると朝の散歩から帰ると返信のメールが先生から来ていておおいに驚いた。その中で先生が「自分の地域で”クマと自然、気象”との関係を見ていただきたい」とアドバイスを下さった。このブログを見ている方の中には興味のある方も多いと思うので、ここで披露させて頂きました。どういうことか詳しく知りたい方は、先生の近著「クマは眠れない」をご覧下さい。


今朝目覚めると、普段は蚊帳から出てヒンヤリシートの上で寝ているコロが、僕の枕に頭を載せて並んで寝ている。その向こうに配偶者がいる。まさに川の字だ。暑がりのコロと僕との幸せなシーズンだ。
・・・と、家の玄関周りで音がしている。大きな生き物だが、どうも人っぽい。コロが猛然と吠える。
覗いて見るとご近所さんAがウロウロしている。
「おはようございます・・・?」
「おうおう、タヌキ拾ったで」
と、車にひかれた若いタヌキを掲げてすごい笑顔だ。
「よう肥えとるで。まだ轢かれてすぐみたいやからいける思うんや」
「ああ、ほんまですか・・・・(?)」
いや、この人、僕が食べるって勘違いしてるんとちゃうかな?
「こういうのって、毛皮も使えるんかいな?」
「え?ええ、使いますよ(ああ、やっぱり)」
タヌキ汁は勘弁して欲しい。だいたいタヌキ汁ってムジナ(アナグマ)でしょう・・・

それにしても随分と今朝は冷える。散歩の出掛けに温度計を見ると11度だった。
旧道を熊鈴鳴らしながら歩いていると、ご近所さんBが家から出て来た。
「ああ、岡居さん、今朝、家の前でタヌキ死んでてね」
「ああ、さっきAさんに頂きました」
「あれ、私が見つけて、ちょうど通りかかったAさんに”岡居さんに教えたって!”って頼んだん」
「ああ、そうやったんですか。それはそれは・・・」
「そしたらAさん、”持っていっちゃる”って」
「あー、ほんまですか。ありがとうございます」
「よう肥えとったでしょう?」
「ああ、そうですね〜(うう、この人も僕が食べるって勘違いしてるなあ)」
「まだひかれてすぐだから、大丈夫だ思うで」
「ほんまですね・・・」

帰宅して、起きて来た配偶者にタヌキの話をすると、
「え〜!?去年ひろったタヌキもまだ処理出来て無いやん!」
「う〜ん」
「なめすん?」
「う〜ん、毛は本当よいんだよ」
「熊だって、タツさんのだって、出来て無いやん」
「う〜ん」
「だいたい、商品用の革が無くて困ってるねんで」
「うう・・・すまん。鞣したら毛皮として売るから」
「いつもそう言って売ってないやん」
「手間なもんだから、出来上がると、つい、な」
「まあ、わかるけど」
「ともかくダニだらけだから、しばらく冷凍しとくわ。んで皮剥いて、あとは時間で来てから考えるから」

寒いので外でひなたぼっこしながら新聞を読んでいると、向山の椎茸の辺りから熊特有の物音。あ〜あ、そろそろ椎茸見に行こう思ってたのになあ、今日も行けんなあ。

鉄砲の練習をしていたら、小学生がちょけて叫んでる様な小熊の声。どうもあの親子はずっと椎茸の中で寝ている様だ。
[PR]
by oglala-beads | 2010-10-17 11:50

至近距離で熊と睨みあう

こっちに来るまでも、来てからはなお、随分と沢山の熊関連の書籍を読んだ。それで熊と出くわした時のイメージトレーニングは知らぬうちに出来ていたと思う。

今朝散歩の時、農道で大きな熊と3mほどの距離で対峙した。
いつも嫌な感覚のある場所なんだけど、今朝は嫌っていうのとは違って、何か妙な明るい乾いた胸騒ぎの様な感覚を覚えて、カウンターアソルトの安全装置を抜きながら、数回指笛を鳴らした時だった。
最初、ヤマナシの根元の熊笹の茂みから、牛の様な低い小さな声で「オ〜、フオ〜」と聞こえてきたので「あ、まずい、引き返さんと」と思ったのだが、声の方向にコロが数歩歩んで「あかん、コロ、行くな」と綱を引いた途端、大きな熊が出てきた。
「ファウッ!ファウッ!」と威嚇を繰り返す。
切り札となる武器が既に発射出来る状態ではあったが、それとは関係無いところで、怖さは感じなかった。
「これは威嚇だけで飛びかかって来ないな」という何か確信めいたものがあったので、固まっているコロの綱を引いて自分に引き寄せながら、母グマの目を見つめてじっとしていた。
また牛の様な鳴き声を出しながら山の方へゆっくりと戻って行ったので、僕もゆっくりと20mほど後ずさりしてから方向転換し、現場から50mほど遠ざかったところで、急に怖さを感じてきたのと、追い払わなくてよかったのかを反省しながら、その場で様子を伺った。
色々と考えて、ともかく近隣に事のあらましを伝えて注意を喚起するだけで帰宅することを選択し、ジムニを出して現場に戻り、姿は見つからなかったが、クラクションや指笛を散々鳴らしておいた。

それにしても、もし僕が熊鈴を着けていなかったら、指笛を鳴らしていなかったら、どうなっていただろうかと考えた。
おそらくそれら全てが無かったとしても、熊は当然こちらに気付いていたと思う。おそらく熊鈴だけなら黙って潜んで僕らを見送ったかもしれない。犬がいることと、指笛を鳴らされた事で、ああいう行動に出たのかもしれないなと思った。
いや、もしかしたら、川のすぐそばで、僕らが瀬音を背にしていたのもあって、気付いていなかったのかもしれない。
どうも、僕だから大丈夫だったのか、僕だからこういうことになったのか、微妙だなと思う。

その後、泊まりに来てくれていたデイ多佳子さんを連れて、但東にある滝を見に行った際、前方からまた例の牛鳴きが聞こえた。その場に着いた時からコロと僕は凄くナーバスだった。気配がプンプンしていた。
最初僕が牛鳴きを聞いて、かすかに聞こえる程度だったのもあって、「まさかな」と思ったのだが、するとデイさんも「いま、ウー、ウー、って言わなかった?コロちゃんの声?」と言う。それでもデイさんは滝に固執していたが、今の時期が一番危ない事を言い含めて車に戻ることにした。

自分の場合は、熊がそこに居る事と、その危険さを常に予測出来ていて、あらゆる危機管理を実行してきたから、最初から「とうぜんそこに熊は居る」というのを前提に自分の行動を決めているのだけど、村の人達は違う。でも果たして、僕の様に「人間がコントロールする」のと、「コントロールを熊の手に委ねる」のとのどちらが安全なのだろうかと、真剣に考えてしまう。
そしてこういうのは、村によって、住む人によって、そこに居る熊の性格によって全く答えは変わると思うので、自分で考えなければならないと思うし、また今のベストな選択が、次の日、次の年には最悪の選択となっているかもしれない。

「なんで岡居さんだけ熊とよく会うんだろう?」という村の人の言葉に、色々と考えてしまった。
[PR]
by oglala-beads | 2010-10-15 15:52

有効活用

先日僕が茂みに蹴り落とした鹿の遺体は、3日後には見事な白骨になっていた。
他にも何体か、人知れず死んだ鹿達の遺体を観察してきたが、すべて一週間ほどで同様になっている。
人の考える下手な有効活用に首をひねってしまう。

ただ、遺体を村近くに放置する事で誘因する動物の問題を考えると、我がラコタを含む昔の平原族が獲物のパーツを使い尽くした叡智に想いが寄る。

というのも、最前の鹿の頭を自然分解に任せることにして、僕しか行かない河原に置いていたのだが、今朝行くと無くなっていたのだ。
今まで見た遺体の頭は持って行かれてなかったのだが、甘かった。
熊の餌付けをしてしまった(まあ、それ以前に鹿除けにネットを使う限り、それにからまって人知れず死ぬ鹿は後を絶たないので、結果的に餌付けと一緒なんだけど)。

師匠のタツさんは、ほとんど利用出来る物は利用しているが、使わない物はシッカリと考えて山に返している。
もちろん鹿の多さ等、環境の違いは大きいけど、狩猟に対する文化の違いにも思える。

さて、我が兵庫県にも狩猟の文化や叡智はあったのだろうか。
鹿に懸賞金をかけてまで県は駆除を押し進めている。林業や農業はそれで守られるかもしれないけど、狩猟は、その精神的根底がズタズタになりはしないかと懸念している(もちろんまだ残っていたらの話だ)。
自分は懸賞金制度にもエントリーせず、駆除で出るお金からも拝してこれを遠くに置こう。
もしくは何らかの心ある基金を見つけて横に流すのこそが有効活用なのかもしれない。



昨夜、裏庭で枝がなっているのが聞こえたのだけど、風が強く雨も少し降っていたので、僕は風だと思った。
が配偶者が「いや、あの音は動物・・・しかも熊違う?」というので、そうかな?と直したテレビの電源を切って懐中電灯等を用意していると「あ、ほら!コリコリ食べてる音がする!」という。残念ながら僕には全然聞こえない。
ともかくのぞいて見ると・・・・
e0114922_10204141.jpg

50mm/f1.8でこれぐらいの大きさ。トリミング無し。左に写っているのは雨樋。
e0114922_1021051.jpg

90mm/f2.8マクロでこれぐらい。悠々と食べている・・・
e0114922_10211986.jpg

・・・と思ったがやはり嫌がっていた様だ。ユーモラスな逃げ腰。f開放でも1/8sの手持ちなので手振れとピントはご勘弁。
e0114922_10214023.jpg

若干カイセンっぽい様な感じもする。若グマはこんなもんなのだろうか。
e0114922_1022047.jpg

e0114922_10222069.jpg

かなり長い時間、このままの体勢でこちらを伺っていた。危険が無いと判断したのか、悠々と下りて、山へと姿を消して行った。
[PR]
by oglala-beads | 2010-10-09 11:04

死体の尊厳

携帯電話が通じる様になりました。

聞いた話、夜中の2時に落雷があって、6時には既に村のアンテナの修理に来ていたそうだ。
そこから昼夜を通しての作業で本日復旧。さすがはドコモだ。
村の共聴アンテナはだいたい直ったそうなのだが、テレビが壊れたので確認出来ていない。庭に人が来なかったので多分うちは忘れられていると思うのだが。
うちは固定電話が無事だったので良かったけど、大半の家が電話もやられたそうで、そのうちNTTと契約している家は作業員が飛んで来たらしいのだけど、eo光の家庭は「パーツを送るから自分で直してくれ」との事だったそうだ。

FUNNY IMPモカシン出荷(ロングブーツのサンプルは途中で悩んで今回見送り)。

個人受注分を何点か出荷。

ornament featherの予約枠5が無事埋まった。

現在ornament feather用の羽根のクリーニング中。燻して、燻して、また燻して、ピレスロイドを使って洗って、アルコール洗浄。かなりの手間だ。

午前中は鞣しが進行。ようやく3回目のドレッシングに辿り着いた。明日絞り。明後日取材。明々後日からソフトニング。冷えて来たのでドレッシングに夜またがせる事にした。

一昨日夕方辺りから、散歩中に鹿の死臭がする場所があったので、昨日見に行こうと思いながら行けずにいたら、朝「大きい鹿が死んどるぞ」と近所が教えに来てくれた。昨シーズンの冬、初めてこの村に見学に来た時、ネットにかかって白骨化している鹿を見つけて、その無惨さに胸を痛めたものだったが、今現在は(相手がオスであれば)何とも思わなくなってきた。実際にオスは角が危険なので逃がしてやる事も出来ないのだが、それにしてもこういった自分の心の変化が実は一番怖い。
「”白骨化するまで放っておいていいですか?”って聞いたんだけど、”今はウジも足のところにしか居ないから、角要るんだったら今とっておいた方が良い”って。仕方ないから今行ってくるわ。白骨化してからの方がいいんだけどな(笑)」という自分の言葉にハッとする。
現場に行っても、鹿が仏さんには見えない。単なる物体にしか見えない。魂が抜けた後の単なる容器。ためらうことも無く、剣鉈で首を叩き落とす。ウジだらけのからだを低木の林に蹴り落とす。
自分のこの変化を、いつからだろうと思い返したら、「有効活用とか有難く命を頂くとか言うけど、それは奪った側の罪悪感だったり、それを昇華させたものなだけ。もし自分だったら切り刻んだりせずにそのまま森で朽ち果てるに任せて欲しい。むしろ全身切り刻まれてすべてを何かに使われる方が恐ろしい。何かに姿を変えるよりは一刻も早く朽ち果てさせて欲しい」と、もし自分だったら・・・という想いに気付いた時からだ。
センチメンタリズムが削ぎ落とされて来て、死体の尊厳、それを今は以前よりも深く見つめている。それゆえの先程の言葉だ。恥じる事では無い。
[PR]
by oglala-beads | 2010-10-05 18:06

落雷被害のお知らせ

昨夜2時頃、村に落雷があり、ちょっとした被害が出てます。
幸い人的被害は無かったのですが、各家庭電話やテレビがやられました。
うちでもテレビが壊れました。
テレビの共聴アンテナを伝ったらしく、村全体がテレビが見れない状態。
また、村にある携帯電話の基地局に大きな被害が出た様で、復旧まで相当時間がかかりそうです。

ということで、常日頃に携帯電話や携帯電話のメールで連絡をとっている方々、しばらく自宅(工房)の方へ電話下さい。
[PR]
by oglala-beads | 2010-10-04 10:51