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杉の恩返し

山には神様が居るなあ、と思う時があります。こんなんだったら良いのだけど、話によると、山の神様は随分と醜女なのだそう。マタギは山入りの際にオコゼを紙で何重にも巻いて持って行ったそう。自分よりも不細工なものを見ると喜ぶらしく、良い猟があったら1枚ずつ剥がすと約束するそう。
お化けとか山の怪みたいなのが怖いと思った事は無いのだけど(怪談で有名な山でも何とも思わない)、イノシシだけは怖い。だいぶ居る場所が分かる様になってきた分、待ちに入る折り、大きな岩のある斜面の尾根などを一人で登る時なんか、本当怖い。「ああ、いるなあ」という感覚は、モア〜っと、真綿の様に頭の芯を両横から締めて来る。そういう状況で斜面を登ってて、イノシシに突きかけられて大ケガをしたり、最悪亡くなったりしてる話を身近でもよく聞く。
登っている時にモア〜っと来て、それでそこを迂回して上がって、上で銃を取り出してじっとしていると、やはり迂回したモア〜な場所でシシが動く音がする。そういうのが今季、一度や二度の事では無い。山の上を任される時は、ほぼ毎回経験する。
こういうのは危険予知の能力で個人的なものなのかもしれないけど、そういうのとは別に、「今日はここには入らんとって」と言われてる気がする場所がある。そういう時には素直に引き下がる様にしている。山の神様というのは随分と公平で、どっちかに加担したりすることは無い様に今の所感じている。ただ、油断のあるもの、自分の力を過信するものに、その分だけのシッペ返しを与える様にしている様だ。だからこそ感謝して入らないといけないし、起こった事の責任は必ず自分でとらないといけないと思う。

大した事ではないかと思って、とりたてて人には言ってなかったのだけど、家族に「山で聞く声」について話すとおおいに笑われた。面白いものなのかもしれないので、記しておこう。
尾根筋で鉄砲を抱えて待っていると、時々木の葉のざわめきが人の声に聞こえて来る。なんと言ってるのかジっと聴き入っていると、かなり高音で早口の男の人達が、
「で、与作は木を切ったんか?」
「いや、与作は木を切らんかった」
「切らんかったんかいな?」
「切らなんだ」
「ひょほほほほほ〜」と笑っている。
谷筋で待っていると、せせらぎの音がインコの様な固く、グリッサンドの無いまっすぐな音程と波形の、異様に早いパッセージで何事かを繰り返し繰り返しつぶやいて、最後にやはり「ひょほほほほ〜」と笑う。
何事か、僕に語りかけているのでも僕を馬鹿にするでもなく、ただ独り言を言っている様にも聞こえる。
ただ、そういう声が聞こえる時、その場には必ず鳥の混成群が集まって来る。主にエナガが多いか。僕が見えていないのか、触れそうなところに平気でとまっている。

カスタネダのドン・ファン・シリーズの中で、ヤキ族の呪術師、ファン・マトスは繰り返し、不肖の弟子カスタネダに、「そういうのを聞き間違いと考えるのは早計だ」と言っている。ホピやオジブアの教えの中にも、水の声を聞くトレーニングがあるし、平原族の神話にもそういった声の話がある。それは自然からメッセージを受け取るのとは違って、人の言葉を話して何事かを伝えてくるという。

て、ことなので受け止めなくてはならないが、それにしても「与作」かいな・・・

もう一つ。待ちに居る時、ちょっと離れたところから苦しそうな声が聞こえた気がした。で、解除になってからそこに行ったら、一本の杉に腐った倒木が倒れかかっていて、今にも共倒れしてしまいそうになっていた。えらい太い木だったのだが、頑張って倒木をナタで切ってどかした。
もちろん、恩返しを期待しての所業である。
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by OGLALA-BEADS | 2009-12-30 21:16

fleshing三頭

解凍中の五頭のうち、三頭のみどうにか8割方解けたのでfleshingをした。久しぶりだったが、各々難しい鹿ながら一頭30分程度だったので上出来。ただし、とても疲れた。

h111509-1 (そこそこの牡。皮薄い。毛根弱い。130cm)
h112209-1 (若い牡。皮薄いが他より若干厚い。毛根強い。120cm)
h120109T (相当年寄りの牡。皮薄。毛根強い。125cm)

最後の鹿は師匠が「師匠との初猟」で仕留めたもので、割合兵庫県の北方のもの。他の二頭は同じく兵庫の中南部のものでウチの猟隊で仕留めたもの。年のせいもあるのだろうが、北で獲れたものは毛が真っ黒だが皮が薄くて脂肪も少なかった。
対する中南部のものは例年に無くもの凄い脂肪だが、反面例年と比較して皮は全体的に薄い。
この三頭はすべて剛毛なので毛皮ではなく、革にすることにした。ただ、ラコタ特有の鞣しをするには全体に薄い。112209-1のみなんとか出来るかもしれない。他は今まで通りのwet scrapeになるか。


先日拾ったタヌキとイタチの残骸を、いつも捨てに行くところに持って行こうと思ったが、変なセンチメンタリズムを起こして、拾った場所辺りに捨てる事にした。幸い週末の猟の時まで冷えそうなので腐らないだろう。ただ、明け方に動物の死体を捨てにウロウロしているのは不審者以外の何者でも無いだろう。通報されないか不安。


最近、革の鞣しの問い合わせがまた増えて来た。徹底的に冷淡に、いや、むしろ冷酷にあしらう。
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by oglala-beads | 2009-12-29 18:00

そんなこんなの年末

早朝の散歩時に会う人が減り、かわりに家の回りを掃除している人を多く見る様になった。
色々と年末ムードが漂って来て、住宅街はなにかしらの期待に溢れている気配がする。
うちは今年は年末年始関係無く、平常通りに仕事。
皆様、今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします。

昨日猟に行く道すがら、タヌキとイタチを拾う。本日、皮を剥く。
そういえばイタチって匂い袋があったよな・・・と頭を過った瞬間、モア〜っと漂い出した。一瞬吐き気がする。洗えど洗えど取れない匂い。出来たらもうイタチはやりたくない。
タヌキはメスで、とっても可愛い顔をしたまま死んでいた。コロ(オス)が必死で匂いを嗅いで、その後、しっかり発情していた。この場合、「おまえはタヌキでも良いのか!?」と突っ込む以前に「死体でも良いのか!?」とつっこみたい。

年末の猟は怖い。昨日も見晴らしの良いところで隠れて待っていると、鹿らしき物音。ゴソっと動いて葉っぱをちぎり、しばらく無音で、またゴソっと動く。現れたのは正月のしめ飾り用のサカキやウラジロ取りのおじさん。どうも、そこいらじゅうに居る気配がする。早々に鉄砲をしまって鹿の跡を見ていた。

本年の猟は昨日で終わり。一頭も倒さなかったが、焦りが全く無い。単独猟の際に30頭以上の鹿を見たが、発砲したのは2発のみ。心技体とはよく言ったもので、今の自分にはすべてが備わっていない。初めてだった去年はそれでも怖さを知らない勢いで、団体猟で先輩に二頭も獲らせてもらったが、今年は出猟する度に、自分に欠けているものが痛い程感じられた。何が駄目なのかとても良く分かるので、だから焦りが無い。本年度の猟期はあと3ヶ月あるのだが、獲れたとしても多分団体の時か、偶然という事になると思う。狙った場所に狙った時刻に、狙った通りの個体が現れて、狙った通りの部位に弾が行く・・・そんな猟がしたいが、そのための心技体が備わるまでは必然的なものでは無いのだろう。なので今獲れると逆に困惑する部分もある。

団体猟の際に獲れた皮を全部持って帰っているので、結構な数のストックが出来た。冷凍庫が一杯になってしまったので、急遽全部をfleshingして、毛皮にするものと革にするものとを分ける必要が出て来た。毛皮にするものは塩蔵にする。革も今回は薄い物も含めて、すべて昔ラコタ族がやっていた通りのやり方でやろうと考えている。ラコタは他の平原族と全く違ったやり方で革を鞣していた。
よほど寒いのか、金曜日に冷凍庫から出したのだが、今日になってもまだ凍っていた。懸念していたダニは、準業務用冷凍庫の-30度でもキチンと死んでいた。

年賀を書く。little wingsストック分作業。new deal修理分。
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by oglala-beads | 2009-12-28 19:27

スケルトン

またまた作業日誌の更新です。「loom earrings」。今夜は21時に乾杯ですよ。

時間を見つけてはやっていた、二つのスケルトン(頭骨)の制作がよいところまで進んだ。
一つは、「師匠との初猟」を休止中なのに結論を先に出す様なのだけど、なにせ師匠が芸術的な射撃で仕留めた真っ黒な雄鹿のスケルトン。
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本当にあんなに芸術的な射撃を見たのは始めてで、感動してしまった。
まるで、あやつり人形の糸を神様がうっかりして落としてしまったかの様に、全力で走り始めた鹿が発射音と同時にヘニャっと崩れ落ちた。
鹿を全く苦しませず、かつ一瞬で動きを止める首撃ちだ。
あまりの素晴らしさに「ああ、もう今猟期は自分で獲れなくて良いや」と思ってしまった、その鹿のスケルトン。
角は揃っていないのだが、最後の枝分かれが出来ない個体で、それ故に上部がスっと空に向かって伸びて、身体の真っ黒さと相まって、立ち姿が非常に美しい鹿だった。ただ、相当な年寄りなのか、骨粗鬆症らしく、骨がとてももろくなっていた。

熊のスケルトンは、同じく師匠が夏の駆除で仕留めたもの。結構大きな個体だが、頭蓋骨にすると小さく感じる。でも牙は非常に立派。
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二つとも現在工房にて乾燥中。
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by oglala-beads | 2009-12-25 16:48

ログハウス

作業日誌を更新しました。「Peyote Featherの今後


新工房として理想的な物件が出て、ついにこれで決まるかと、前日はコロ以外、眠れない夜だった。
物件を見る前に、折角だから目をつけていた場所に朝イチで猟に入る。
そこは前に見に来た物件の前の山で、その物件の前の川に、信じられないぐらい大きなオス鹿のフンが落ちていたのだ。帰宅後、地図で確認したら非常に面白そうな山だった。

「早ければ一時間。遅くても2時間で帰るから」と言い残して入山。途端に行き当たる鹿ネット。際をグルグル回るが破れナシ。人用ゲートから中に入っても跡は小さいものだらけ。しかも寒波の最終日だけに今朝の跡はナシ。色々と考え違いをしていた様だ。
早々に下山。配偶者に笑われる。

モーニングを食べて物件へ。
場所は県下最高の景色と名高い高原外れの集落の、そのまた外れに位置し、雪が梢から落ちる音と鳥の声、渓流のせせらぎが支配しているログハウスだ。
鹿、イノシシ、キツネ、ウサギ、リス、そして熊の跡があるが、杉しか無い山だ。
猟期中、毎朝窓辺でコーヒーを飲みながら鉄砲を抱えていれば、必要な皮は確保出来そうだ。

ペットOKな上に鞣しと解体OK。トイレは合併浄化槽の水洗。何を悩むことがある?という感じなのだが、デッキの板が全部腐っている・・・まあそれは2X4を買って来て楽しくリフォームも出来るのだが、問題は立地が急傾斜地の杉林の中だということ。杉は根が浅いから台風等ですぐに倒れる。現に一本が倒れて玄関ポーチにもたれかかっていた。
住居、にするのではなく、また自分一人で借りるのではなく、何人かで借りるなら面白いかとは思う。が、工房を移転させるのは無理だ。

物件を見に行くと、何故か猛烈に疲れる。あれはどういう訳なんだろう?
今で何件物件を見ただろうか。みな田舎物件は理想のものに出会うまで相当苦労したという話を聞くが、本当に大変だ。
しかし、今度の事で、自分と猟と仕事との関わりというか、割合を図らずも考える契機になった。
全ての中心に猟をもってくるのは完全に間違いで主客転倒。田舎に越すというのは、あくまで猟ドップリの生活にするためではなく、むしろ逆に、猟にかける時間を減らす事が当初の狙いだった。つまり、毎日、朝ご飯前に山を見て回ってから仕事をする。どうもそれを忘れていたな、と思う。

自分はラコタ・ビーズの細工師だ、というのを忘れん様にせんとな、とよく思う最近である。
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by oglala-beads | 2009-12-23 18:26

little wings 第一陣出荷

funny imp店に先日納品した商品のうち、レイジー・ブレスは即日完売だったらしい。しかも魔王(担当者)が想定していた人が見に来る前に全部無くなったので困っているとの事。
そんなに売れているのに、何故我が家の貯金は減るばかりなのだろうか?
僕が一番怖いのは、配偶者が家計簿をつけながら出す溜め息だ。

本日は岩手県は盛岡のlittle wingsへ第一陣出荷。
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本当の注文はこれの3倍以上あるのだが、シーズンがシーズンということで、アシスタントと目を腫らして作って出来上がったものを出荷。
残りは出来れば年内に送りきりたい。
今回も制作意欲が旺盛だったので、色々と楽しんで作った。ルーム・バレッタとルーム・ピアスが出色だろうか。
ルームピアスは結構カガリが面倒くさいので現在カタログ落ちさせているが、かつて人気があった商品で主にアシスタントの制作だった。10年程前に取引があった子供服ブランドが凄い勢いで売っていた商品だ。また近いうち、作業日誌で紹介出来ればと思う。ただ、もし復活させるとしたら、価格は変更を免れないだろう。このデフレの時代に値上げという、うちらしい暴挙である。


さあ!明日はゆっくり寝るぞ!と思ったのだけど、家族連れで猟に行く事になった。その後、急遽入った貸し物件を見に行く事に。てことは、いつものユニクロのフリースにドカジャンでは難しい。こういう事もあろうかと、ひそかに用意していた、オシャレ・ハンター仕様の服を出動させねばなるまい。

好評の「師匠との初猟」シリーズ。残りは年末年始の仕事休みの時に書き上げる予定です。
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by oglala-beads | 2009-12-21 21:50

funny imp第二陣発送

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funny imp店の第二陣出荷。
これは前の11月末出荷分と本来一緒に送るはずだった商品であり、やはり現在の納期は半月〜一月半程の遅れが出ている。一時取り戻して来た様に思ったのだが、猟期に入って若干遅れ始めた。
しかし今年から色指定を僕がして、制作をアシスタントに任せている商品を増やしたので、まだずれを最小限に留める事が出来ていると思う。来年度はこの体制が効果的に機能してゆくだろう。
猟というと遊びの様に思う方もいるかもしれないが、ちゃんとやっておかないと来年度の革が無い状態なので理解して欲しいと思う。
「”今、猟行ってます”じゃなくて、”皮とりに行ってます”にしようかな・・・」(アシスタント)
まあ、そんな感じです。


アシスタントも僕も現在、制作意欲が旺盛なので、作品全体に勢いがあって、良い商品が出来ている。
個人的に今回思い入れが深いのが、少し前にも触れたレイジーブレスで、すべて納得のいく深い色合いを出せた。チェコでイタリアン的な深みを出す課題に一歩踏み出せた。

次にラウンド・イヤリング。
イアリング系の制作は殆どがアシスタントの担当なのだけど、今回はイアリング系の注文が多かったので僕がヘルプに入ってラウンド・イアリングを久々に制作した。
ただ作るだけなのも面白くないので、微妙な色相のコントロールで、ある色のイメージを根本から変える挑戦をした。
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写真手前のターコイズ・グリーンが外周に来ている分。ターコイズ・グリーンはそのまま使うと濃厚なクリームみたいな存在になるので、黄色や薄いオレンジと合わせる事で大陸的に仕上げる事が出来る。これに若干濃い目のオレンジを当てて、薄目の赤で補佐させることでイメージを変えさせた。
色本来の魅力をスポイルせずに、昔のヨーロッパ車みたいな色に落ち着かせた。
明るく仕上げるとこの季節に合わないのだが、このトーンでなら年中使えるアクセサリーになる。
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by oglala-beads | 2009-12-18 20:13

約束

先日苦労して取り出した熊の脳みそだが、冷凍前の処理で屋外に寝かせていたら、野良猫に食べられてしまった。随分沢山の脳みその処理をしてきたが、野良猫に取られたのは初めてだ。

熊のスケルトンは昨日二日目を煮たが、まだ頑固に肉がこびりついている。鹿よりも相当しつこい。手と自作のスクレイパーであらかた肉をこそぎ落として今日3日目の煮込み。明日4日目の煮込みをして終わらせる予定。肉が沢山ついた状態で煮込んだからか、スケルトン自体が肉色になってしまっている。

アナグマは順調に脂と水分が抜けてきた。あと2〜3回塩を使わないといけなさそうだが。今回はケチって一回の塩を4キロにしたが、吸い切れていなくてビチョビチョになってしまっていた。小さい個体だが最低5キロは一回で必要だろう。合計15キロは必要になる。鹿を毛皮にする際はだいたい20キロほど使うが、大きさを考えるとアナグマに使う塩の量は相当多い方だと思う。割合的には熊に近い。


今朝は工房も随分と冷えた。日が昇ってからの起床だったが、それでも摂氏1度だったので、夜明け前にはマイナスだっただろう。鞣しのバケツに1センチを越す氷が張っていた。
これから週末にかけて随分と冷えるそうだが、きっと今朝は罠猟師や単独猟のハンターにとってはお祭りみたいなものだったろうと思う。冷える事で獲物が動くからだ。
僕も先週から寒気団の南下情報を捉えていたので、木・金と、とても楽しみにしていた。しかしながら体調がなかなか戻らず、昨日の朝もひどい鼻声な上に逼迫している納期が数件あって、指をくわえて見逃した。
いや、実は体調は夜には良くなったし、猟も夜明け後数時間の斜光線勝負と考えていたので、朝だけ・・・と、♪マークを飛ばしながらイソイソと仕事していたのだが、ある事が叶ったら木金は猟に行かない・・・と軽い気持ちで願掛けしていたのを思い出してやめた。そうだ、バッチリかなってたんだ・・・
自分で決めたルール。自分が守らなきゃ他に守れる人も居ないもんな・・・

円高を利用して、100%ウールの靴下を買う。ものすごく快適で驚く。アウター等の眼につくものよりも、こういう部分こそ大切なんだな・・・と思った。
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by oglala-beads | 2009-12-17 20:31

アナグマとツキノワグマ

クマはクマでも、アナグマは確か熊とは生物学的な分類が全く違った様に思う。
でも脂肪の付き方とかは熊と似ているらしい。
今年大好評だったアナグマの爪のネックレスのあのアナグマだ。あの爪はカナダの個体だったが、日本にも同じ様なのが住んでいる。
師匠と猟に行った際、お世話になった吉井さんにアナグマの子供を頂いた。
もちろん死んでいるもので、僕はちょっと殺すということは考えつかないぐらいに、その姿態はあまりに愛らしい。
アナグマと熊とが似ているというのは吉井さんの言葉だったのだけど、今日、仕事の休憩に皮の鞣しにとりかかって、確かにタヌキよりは熊なのかな・・・と思った。

アナグマはムジナと呼ばれて、よくタヌキと混同されている。僕も「タヌキみたいなもんだろう」と作業に入ったのだが、すぐにそれが大間違いな事に気付いた。でも熊とも違う。いわば、タヌキの様にモロモロの脂肪で、熊の様に皮に入り込んでいると言えば良いのか。
小動物にしては難易度が高い。
正直、あまり鞣したく無い動物のうちに入る。
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それでもどうにかこうにか脂と肉を除去出来た(この作業にナイフを使ったのは初めての事だ)。
皮に入り込んでいる脂肪もなんとか押し出した。それでもまだ、タ〜ップリ残っている脂。
これをどう除去するか。
強力脱脂剤(といっても台所用洗剤のジョイ)で洗う事を考えたが(通常の毛皮製作ではここで洗うのがセオリー)、洗うと半面ずつやったとしても脂が毛に回ってしまう。で、通常の毛皮製作では毛についた脂を取るために灯油で洗う事になる。
それはやりたくない。健康やら環境どうたらという話ではなくて、洗った後の灯油の始末に困るからだ。

で、塩に吸わせる事にした。
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ここまでの作業で、手持ちのナイフはすべて脱脂しないと全く切れなくなった。
全部を研ぎ直して、今度は師匠にもらった熊の頭(皮を剥いだだけの状態)のスケルトン(頭蓋骨)製作にかかった。
通常はこのまま煮るだけなんだけど、出来たら脳みそを取っておきたい。今度同じく師匠から熊の毛皮が来るので、脳漿鞣し用にとっておきたかったからだ。
鹿に比べると案外簡単に頸椎が外れて意外だった。
もっと意外だったのは、案外脳が小さい事で、恐らく鹿よりも小さいと思う。でも鹿の何倍も頭が良いと思われる。鹿というのは、生活という以外の部分で脳を使う生き物なのかもしれない。
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この熊は夏に駆除対象になってしまった個体で、噛みちぎらんばかりに自分の舌を噛み抜いていた。
スケルトンが仕上がったら、何らかの細工を施して供養しようと思う。
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by oglala-beads | 2009-12-15 17:40

取材依頼

本日、ファッション誌のフリー&イージー誌がカウボーイ&インディアンの特集をするとの事で取材依頼があったそうだ。僕は母の手術に立ち会っていたのでアシスタントが応対。

「・・・ということで、御社のホームページ等で商品を拝見しまして、”他に無いじゃん、格好いいじゃん”という観点でセレクトさせて頂きました」
「・・・ハイ」
「つきましては1ブース10万円ということで、2ブースまでお買い上げ頂けます。1ブースにつき商品2点まで紹介出来ます」
「・・・」
「某さんは4ブースをお買い上げ頂いて・・・」
「・・・すいません、うちはタイアップはご遠慮させて頂いております」

ということでお断りさせて頂きましたが、そういう企画があるんだそうです。


もしかしたら担当の方がこのブログを見てらっしゃるかもしれませんので、僕から一言フォローを・・・

「先程はアシスタントが失礼をいたしました。3流インディアン・ビーズ工房の弊社OGLALAは、時に血だらけ、泥だらけ、マダニだらけ、ウジムシだらけになって命がけで鹿を獲って皮をなめして、その出来映えに喜んだり、アメリカで最貧民として有名な、今は亡きかつての友人達との、もはや期待されていないかもしれない絆と約束を守る為に生きている様な暗愚なところのある、別に他となんら変わるところの無い、下らない工房です。
よそ様の様に、格好良い店で若い子相手に”インディアンとは”と語るなどは恐れ多くてよういたしません。
なので、”他に無い、格好良い”という事に関しては、どうぞよそ様にお願い申し上げます」
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by oglala-beads | 2009-12-14 18:08