<   2008年 01月 ( 4 )   > この月の画像一覧

本業はビーズ細工師です。

なめしの事ばかり書いているので、知らない人から「鞣しする人?」って思われている節がある。
知ってる人からも、「今はほとんど革ばかりかな」と思われている節もある。

一応誤解の無い様に言っておくと、鞣しはよくやって一日2時間程です。本業のビーズの休憩程度にやっています。
ビーズの納期は現在2ヶ月少し。待って頂いている方の手前もあるので、一応言い訳しておこうかなと・・・(笑)

鞣しに関しては、理想はその一年に大体これぐらい売れるだろう数の原皮を、ベストシーズンに仕入れて塩蔵にして、水が温んでまだ毛虫の出ない3〜4月頃にビーズ仕事を休んで一気にやってしまうことです。

最近、毎日の様にブレインタンの問い合わせがあるんだけど、今年の販売は多くても30枚程度の予定です。でも予約を受けているのは10枚程度。だからまだまだ余裕があるので、欲しい方、安心してもらって大丈夫だと思います。


ところでブレインタンの鹿ですが、もし、初めて鹿を使うのなら、ブレインタンよりはまずアメリカのクロム鞣しのディア(鹿)、そして日本で鞣された同じくクロム鞣しのワピチ(エルク=オオツノジカ)のスモークされたもの、と、使ってみられる事をおすすめしますよ。

ブレインタンはそれらの革の3倍もの値段がするし、その割にコントロールも難しい革なので、熟練しないと使える革ではないです。
僕の鞣したものはビーズ細工用に色々と工夫しているので、普通のブレインタンよりかは使いやすいけど、それでも普通に売られている鹿の方が、出来上がりの見栄えもします。

一般の人からすれば、ブレインタンって、「え?なんだ、こんなものなのか?」って感じですから。だから僕もいつも、あまり革を知らない人に見せるの、嫌なんですよ。

一般的な鹿を相当使ってみて、それからブレインタンを使ったら、その時はね、もう手放せなくなります。万能では無いけど、これでないと出ない味があります。

繰り返し言いますが、ブレインタンは贅沢品だし特殊です。万能ではないので、初心者の方にはおすすめしません。僕のブレインタンを買うお金で、クロム鞣の鹿の革を、色んな種類買った方がいいですよ。

その上で、一度挑戦してみて下さい。
[PR]
by oglala-beads | 2008-01-27 00:19

アシスタント日記

熊の脂の抽出や、ニカワの製作等、ちょっと僕の手の回らない仕事は、アシスタント(配偶者)に任せている。それが、横で見ていてとても面白そうなので、ブログをつけさせることにした。
週一回更新で、昨日からつけはじめました。僕とはまた全然違った感覚で、作業とかを見ていて面白いですよ。
アシスタント日記


一年少し前に、熊の鞣し中の事故でケガをした右手の小指が、昨日の昼過ぎから妙に痺れて痛くなって来た。
ちょうどここ数日、右手の小指を多用するペヨーテ・ステッチばかりしているので、そのせいだろうと、力を入れる方向に注意して作業をするのだけど、治らないどころかどんどんひどくなっていく。
あまりに痛いのでシゲシゲと眺めてみると、左手の小指の倍ちかく腫れ上がっていた。触った感覚があまり無いので、腫れに気付かなかった。
「そういえば、気候の変わり目なんかに、古傷が痛むというなあ」などと配偶者と話をしていたら、案の定、今朝から空は雪雲に覆い尽くされていた。遠く、雪雲の切れている地平線はオレンジ色で、雪雲は青みがかったグレー。今夜は積もるだろうか。

ちなみに、ペヨーテステッチを長い事していると、僕の場合、右手首が腱鞘炎を起こす。だから手首にはサポーターをしている。
さらには針尻で中指の皮が薄くなって、最後は血が出たり穴が開いたり、感覚が異常に敏感になったりするので、薄い革を巻いている。


アシスタントが挑戦している皮は、ようやくグレイニングを終了。同時に始めた僕の丹波の鹿はもう少しかかりそうだ。
群馬の鹿はいまだ漬け込み中。数日内に最終グレイニングにかかれそうだ。
冬場は全作業がゆっくりになってしまい、特に漬け込みとソフトニングには非常に長い時間が必要になる。漬け込みが長いと、漬けきる前に腐り気味になるので、次の皮からは新しいテクニックを試すというよりは、春まで塩蔵にしておいて、水が温んでから一気に開始しようと思う。
そう考えていくと、鞣しも半年がかり。


タツさんが、今季初の鉄砲での獲物。鹿。ドイツ系ではなく、ニホンジカだろうとの事。
「小振りだわ〜」と、あまり元気ナシ。いやいや、おめでとうございます。雑木林で枝越しに仕留めたらしい。すごい腕だ。
[PR]
by oglala-beads | 2008-01-20 11:31 | お知らせ関連

今週の雑記

久しぶりにビーズを仕入れた。3ヶ月ぶりぐらいか。次に自分がどの色をメインにしたがるかの傾向を先読みすることが出来る様になってきて、随分と効率の良い買い方をする事が可能になって来た。

僕がどれ位のビーズを消費しているか、を言うと、例えばベースカラーに良く使う白だと、3ヶ月で半キロぐらいか。数字で書くとピンと来ないけど、相当多い方で、居留地のビーズ屋からすれば上得意様だ。「一人で作っている」と言っても、なかなか信じてもらえない。
というのも、一番ビーズの消費量の多いレイジーステッチの細工を主に作る居留地のビーズ専業作家で、同期間に使うビーズの量は1/6キロぐらいか。対する僕は、レイジーステッチの比率はどちらかというと低い方。しかも、相手の要望でビースカラーを常に変えているので、白のみで1/2キロ/3ヶ月というのは、多分凄まじい数字なのではないだろうか。

僕がメインで使っている糸は、NYMOというビーズ専用糸で、ボビン<スプール<コーンという購入単位の内、最大のコーンを入れているのだけど、今回のコーンから、驚いた事に今までのコーンの3倍位の巨大なものが来た。机に載っていると品がない。でも、すごく頼もしい。

チェコビーズは次第にきな臭い動きになって来た様に思う。居留地の販売店もアメリカのディストリビューターもしっかりしているのに、何故か「え?」って思う様な基本的な色を「no longer available」と言って来る様になった。
チェコの工場は一社ですべてのビーズを作っている訳ではなく、例えばAの工場はターコイズ、Bの工場は黄色・・・とまあ極端に言うとそういう感じなので、次第にチェコのビーズ工場が少なくなっていっている様子が伺える。
チェコビーズが入手出来なくなるということにはすぐにはならないだろうけど、先手を打っておく必要もあるか。
実はOGLALAの前身はオカイ通商株式会社という読んで字の通りの貿易商で、日本唯一の某国国防相の取引先でもあった、その道の雄。もちろんJETROなんかにも登録してるし、L/CだのB/Lだのは慣れているので、直接チェコのエクスポーターと取引することも可能なんだけど、やはり居留地にお金を落とすというのが僕の基本。だから、もしも今後チェコビーズが難しくなって来たら、直接チェコとやって日本にチマチマ輸入するというよりは、僕自身がアメリカで起業してディストリビューターになって居留地にビーズを安定供給する・・・・なんてことが出来たらいいなあ(笑)。勿論オフィスはカイル(パインリッジ居留地内の村)に置いて、居留地の事業としてね。そうしたら税金としても、雇用としてもラコタの役に立てる。まあ、おおぶろしき、大風呂敷(笑)

テンのなめしは現在塩乾燥が終了して、駐車場で塩漬けの状態。ちょっと水が温む時期まで置いておいて途中まで作業をすすめて、最終的な作業は温かくなってからやろうと思う。ということで完成は5月ぐらいかな。
ブレインタンに仕上げたいのだけど、本当に皮が細いので、毛には煙を回さずに革にだけ煙を行き渡らせるようにするのが難しそう。時間があるので、アメリカのタンニング・サイトの友人達と相談して良いアイディアをもらおうと思う。

鹿は水温が低いせいで、本当になかなか漬かりきらない。次の鹿はテクニック自体を変更して、色々と試してみようと思う。

今年は暖冬なのか、雪が少なくて、凄腕ハンターのタツさんも相当苦心されているようだ。
僕が行った時に仕掛けた罠に小さなイノシシが一頭かかって、「オケラ(坊主)はまぬがれたけど、大物がまだだからなあ〜」とすっかり元気が無い。どうも狩猟は仕事とは認めてもらっていないようで、充分な休みを取れない状態で、昼休みとか本来は身体を休める時間に山に入っているみたいだ。
事故の無い様に。本当に、僕が祈るのはそれだけ。

縁の無かった東京方面から声がかかる。以前にも取引させて頂いていた、超大手さんだ。先に取引先を通してまわしてもらっている話もあるし、大手さんの場合は現場の担当者がどれだけOGLALAが好きかと、その人がどれだけ決裁権を持っているかににかかっているので、どうなるか分からないけど、本気でやってくれるところを見つけられたら嬉しい。相手が本気なら、僕も心中覚悟で本気になる。そうやって本気同士がぶつかり合ったら、お互いの限界以上のものが出来る。
[PR]
by oglala-beads | 2008-01-13 12:15

テンの毛皮なめしの開始

あけましておめでとうございます。
本年もどうかよろしくお願い申し上げます。


大晦日から、大掃除をしながら冷凍庫で眠っていたテンの解凍にかかった。

このテン、今回この雑記に書こうとして、いつ獲れたものだったかを調べてみた。すると2007年3月11日にタツさんから「道で死んでるのを見つけたけど、要る?」と電話がかかってきたことが書いてある。その後、タツさんの手が空いた時に解体をして送って頂き、以来、充分に気候が寒くなるまで冷凍庫で眠っていた。

最初外の日だまりに、下に網を敷いて水分を逃がす様にして置いていたのだけど、一向に溶け始める様子が無いので、匂いがまったく無いのを幸いに、工房に持って入った。
元旦の昼過ぎには完全に溶けたので、そこから足の小骨を外しにかかって毛を洗い、タオルドライの後、ドライヤーで毛を乾かしてバスタオルにくるみ、冷暗所で夜を越させた。
e0114922_15192233.jpg

小骨外しは、やりやすい様にタツさんが、人でいうところの膝から下の骨を残しておいてくれて、切り込みも入れておいてくれたので、骨を掴んで皮をメリメリと引っ張っていくと、簡単に指先近くまで皮を剥ぐ事が出来た。力を入れ過ぎて、一つだけ爪まで剥がしてしまったが、これは後からエポキシで接着が出来るだろう。

随分奇麗な毛皮だったので洗う必要も無いかと思ったのだが、人の顔等に住んでいるニキビダニを大きくした様な長細いダニが固まって死んでいた場所があったので洗った。
しかしながら未処理の毛皮は濡れている時間が長いと微生物による分解で脱毛が始まる。これは気温が高ければ高い程早く始まるのだが、冬だったのと、前に熊をやった時にそれほどシビアにならなくても大丈夫そうだったので、毛はかなり徹底的に乾かしたものの、Borax(ホウ砂)等、他の処理等はやらなかった。
e0114922_15201076.jpg

翌、1月2日、肉面の脂肪や肉を取り去る作業(フレッシング)にかかった。通常、小さな動物の場合、板にクギで打ち付けてナイフで取っていくのだが、鹿で慣れているビームの上で、スクレイパーを使ってやることにした。
最初は下に100円均一等で販売されている滑り止めを敷いたのだが、スクレイパーの力が分散されてしまって上手くいかないため、途中からは外した。
細かいところはさすがにスクレイパーでは難しかったが、それでも30分ほどで通常の鞣しをするのに支障の無いぐらいは奇麗に削ぐ事が出来た。
e0114922_15222663.jpg

厄介だったのは脂で、スクレイパーを押し付けると、皮自体の中からジワっとわき上がって来る様な出方をする。数十秒でスクレイパーに脂が回って使えなくなるので、ビームの横に洗剤を入れた水のバケツを置いておいて、頻繁にスポンジで擦りながらの作業だった。
しかし逆に言うとナイフでのフレッシングと違い、あらかたの脂を皮の中から絞り出してしまえたので、後の行程での脱脂が楽そうだ。
e0114922_1523034.jpg

さて、全体に奇麗に出来た後、この後の作業が楽になる様に、細かい部分のメンブレン等の除去をしていて、ふと気がつくと手に非常に小さな毛がついていた。脱毛が始まったのだ。少しなめて掛かり過ぎた様だ。慌てて塩蔵にかかる。
新聞紙等の上で肉面を上に皮を大きく開いて、その上に塩を厚く盛る。全体に盛れたら肉面と肉面を重ねて折り、次に巻き上げる。そして切れ目を下にして、通常は軽い傾斜の台の上に置いておく。こうやって余分な水分を塩の力で強制的に抜き取ってしまうのだ。2日ほどこの状態で置いておいた後、塩を払い落し、また新しい塩を盛り、同じ様に二日ほど置いておく。そしてまた古い塩を払い、新しい塩を盛る。このプロセスを経た皮は数年放っておいても大丈夫だ。
e0114922_15232828.jpg

塩蔵にはドライ法とウェット法があり、今回使ったのはドライ法だ。ウェット法は文字通り湿気た状態のまま保存する方法だ。ドライ技法は毛皮の製作に適しているのだが、半面ギンを固く締める効果があるので、バックスキンには向かない。
e0114922_1523524.jpg

何故すでにフレッシングが終わった皮を塩蔵にするのかだが、これには二つの訳がある。一つは毛根と表皮を塩で引き締める事で、脱毛が起こりにくくすること。そしてもう一つが、皮のpHを下げる事で鞣し液を浸透しやすくし、ソフトニングの作業を容易にするためだ。
通常、ニュートラル(中和状態)の皮はpHが7.0。理想はこれを6.0にもっていくことだ。僕も鹿のブレインタン(脳漿鞣し)の場合、鞣し液に浸透させる前に、塩では無く酢に漬け込んでpHを落としている。酢は塩に較べるとコントロールは難しいが、その分短時間でpHを下げる事が出来る。


ともかくこれで少しの期間塩蔵にして、脳漿で鞣すか、それともリッテルさんの鞣し剤を使うのかを検討しようと思う。脳漿の場合、かなり温かい温度の鞣し液を使うので、脱毛が心配だが、ソフトニングを何度か繰り返す事が出来る。リッテルさんの鞣し剤の場合、脱毛の心配は無いが、ソフトニングが一発勝負になるので、普段ブレインタンでワーキングを何度かしてからファイナル・ソフトニングにかかる僕としてはちょっと一度のソフトニングで柔らかさに満足出来るか不安だ。
あと、ブレインタンの場合、スモーキングをしないといけないが、この小さな革をどうやってスモーキングするのか、それもちょっと悩む事になりそうだ。
[PR]
by oglala-beads | 2008-01-06 15:24 | 鞣し関連(テン)