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ブルー・グリーン

色の話は、残念ながらあんまり反響無かったので、まあこれが最後。
二回目にして最後というのが悲しいのだけど。

子供の頃から、色の好みが人と少し変わっていた。お金をもらって買って来た服が、セルリアン・ブルーのトレーナーだったりした。
パステルカラーとハッキリとした清潔感のある色が好きで、濁った色目があまり好きではなかった。
当時は人と違う自分が嫌で、自分の好きな色を一生懸命否定していた。実はそれはつい最近まで続いていた様に思う。
でも気がついたら、子供の頃の好み、そのものすばり、今の作風に出ている。フルーツグラなんかもろそれだもんね。筋金入りだね。

さて、そんな子供時代、どこかで見て強烈な印象を残したのがブルー・グリーン。
どういう時に見たのかは忘れたけど、”なんて奇麗な色だろう”と感動したのを覚えている。

が、このブルー・グリーン、ビーズにすると、キレイは奇麗なんだけど、どうも今ひとつパリっと来ない。なので「特にこれを使わなくてもな」と、使用頻度は低い色だった。
それが、現在自分で掲げてる努力目標というか、テーマに合致している色の一つなので、積極的に使う事にした。

ブルーグリーンを一束取り出して、先入観や何もかもを取り除いてじっと見てみる。すると昔感じた、この色の美しさが胸に迫って来た。
そうか。この色、他の色との組み合わせで、非常に濁ってしまう色なんだな。相手(他の色)を受け止めて、相手を立てて(目立たせて)、自らは濁ってしまう色なんだ。それでビーズ屋で他の色と並んでいると、前に出て来なくて、「わざわざこの色でなくても」と思わせてしまうわけだ。

こうなると、意地でもこの色の魅力を前に出してあげたいよね。僕らしさも出しながら。相手を引立てる魅力っていうのも出してあげたいよね。
で、こんな感じにしてみました。
ちょっとウルトラバロックというか、南米のキリスト教の意匠なんかも意識しながら。

どう?
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写真だと駄目か(笑)。
光が当たって透けたときなんか、ぞくっとするんだけどね。

5歳ぐらいの時、近くに住んでいた、おねえさん、今は顔は覚えてないけど、奇麗な髪で、良い香りがした・・・何故かそんな記憶がよみがえる様な、せつない想いのする色。


ところでこのブルーグリーン。僕はチェコ・ビーズの中でも、1、2位の色だと思います。
アメリカではイタンリアンがやっぱりブランドで、アンティークはさらにその上。それはやっぱり深みがあって、僕も集めているので本当によく分かる。チェコはそのだいぶ下の扱いだ。
でもチェコにはチェコの良さがある。イタリアン信仰の強い人は、チェコを上手く扱えていない細工師に多いと思う。

チェコにはチェコの良さがある。
職人達の良心が詰まった名色が沢山ある。
このブルーグリーンなんか、本当にその最たるものじゃないかな?
先に言った様に、この色だけを見ていないと、この発色に出来ないんだよね。
本来のブルーグリーンは、こんな色じゃないしね。
この色目の調整具合に、チェコの歴史とか、風土的な美しさとか、文化の高さを感じるんだよね。


*写真の商品:ライター・シース
 納品先:NEW DEAL(新潟)、ストック用
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by oglala-beads | 2007-09-07 21:17 | 素材関連

アンティーク・ビーズ

少し前からよく「アンティークっぽく」というリクエストが入る様になった。
要はビーズの色だ。
これは色合わせという意味も少しあるんだけど、それよりはビーズ自体の色に関しての事が多い。
つまり、現代もののチェコビーズの発色が気に入らないというお客さんが増えて来た。

それだけ目が肥えたお客さんが増えて来た事は、多いに励みになっていいんだけど、正直、僕からすると非常にやりにくい事でもある。
というのも、大概のお客さんのイメージが、5年程前からアメリカ中南部の土産物屋とかで売られる様になった、アンティークに見せかけたポーチなんかによっているのが多いのだ。

この、えせアンティーク、インディアン・クラフト界ではかなり問題になっていて、その余波で、現在ではちゃんとしたインディアン・トレーダーや店では並ばなくなっている。メイン市場は現在、日本人や韓国人バイヤーだ。
このエセ・アンティーク、非常に良く出来ていて、僕も数年前に初めて見せてもらったときは正直、なんて判断して良いか困った。

これらの特徴は、
1、必ず裏地がある。
2、フレンチ・ビーズを使っている。
3、必ず「〜族」と値札に明記されている(実際は違う)。
4、ビーズの穴にべたつかないタールの様なものを塗っている。
5、独特の「くささ」がある。
6、それぞれの部族を「なんとなく」真似ているが、詰めが甘い。
7、実際に洋服で合わせるということで考えたら、本物のインディアンクラフトより、持ちやすく、合わせやすい。

よく皆、勘違いするのだけど、ビーズの色は1000年や2000年で変色したり、退色したりするものではない。それをわざわざくすませている所が偽物たる証拠でもあるんだけど、残念ながら日本で、本物のアンティーク・ビーズ・クラフトを見る機会は皆無なので、偽物が日本人の認識の中で本物になっていっている・・・・・


・・・・というようないきさつがあるもので、「アンティークっぽく」っていうリクエストが来ると、つい構えてしまうのだ。少なくとも、なんで俺が偽物に似せて作らなきゃならんのだとも思うし、その技法を研究する気もない。


ただ、前にも書いたと思うが、チェコのビーズは他のフレンチやヴェネチアン(イタリー)に比べると、発色が鮮やかで、そのかわり深みが無く見えるのも事実だ。僕自身、たまに1800年代のヴェネチアン・アンティークのコレクションのパレットを開くと、ため息が出る。濃厚なんだよね。
ただ、これらを通常の商品には使おうとは思わないんだよな。
値段をいくら付けていいか分からないしね。


僕のポリシーとして、「現在ラコタで手に入る材料を使う」っていうのがあるので、革にはこだわるんだけど、ビーズ自体に関しては、正直こだわりがないというか・・・それがこだわりなのか・・・チェコに疑問を感じた事は無いんだよね。僕自身がチェコビーズが好きだからね。
革は、現地のヤツは日本で手に入る様な奇麗なものでは無いから。だから逆に「汚くてムラのある革」にこだわっているんだけど。


まあ、そういうことなんだけど、それを充分承知でアンティークのビーズにどうしてもこだわるという方には作らないではないのだけど、ただ、違いが分かってもらえるかな・・・というのも心配。そこでちょっと最近、FUNNYの鬼の担当者さんに作ったアンティークビーズのサンプルカードを載せてみます。ただでさえ分かりにくいのに、スキャナーで余計に分かりにくくなっているとは思うのだけど。
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a、チェコビーズを混ぜて自作したアンティークシミュレーション(近くで見るとこんな風にバラバラさが目立つけど、離れたらリアルです)
b、ヴェネチアングラス、100年以上前のもの
c、ヴェネチアン、現代物(数十年前のもの)
d、ヴェネチアン、アンティーク
e、ヴェネチアン、現代
f、チェコ、ホワイトハート、現代

アンティーク・ヴェネチアンを何故コレクションしているかというと、将来的に、より作家性の強いものを僕が作り始めた時に使おうと考えているから。実はこれは去年の夏からデッサンが出来ているのに、なかなか気合いが入らずに、まだお預けになっているのだ。合う革が鞣せたら(厚さが要る)、始めようかと思うのだが。
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by oglala-beads | 2007-08-05 20:09 | 素材関連

革の引き合い

自分で鞣した鹿革で作った商品を日誌に載せて以来、革自体に対する引き合いが何件か来た。実際に商品に仕上がった時に、革の粗さが生み出す味に納得して頂けたのだと思う。
革に関しては大量の引き合いは無理だけど、個人使用ぐらいであれば、販売していければと考えている。確実に欲しい方は声をかけておいて下さい。原皮をストックしておいてもらう都合があるので。実際にオーダーを取るのは、もう少し経験を積んでからになりますが。
金額は、アメリカでのブレインタン(脳漿鞣し)革の相場にならおうと考えています。ちなみに、工業鞣しの普通の鹿革の3倍が相場の様です。ですので相当高価ですね。革サンプルも用意いたしますので、必要な方はご請求下さい。なお、革に関しては直売のみで、卸は今の所考えておりません。

初物をプレゼントしたタツさんの感想が「すごいね。ちゃんと革だもんなあ〜」だったので、配偶者に「そりゃあ、革だよ〜」って笑いながら言うと、配偶者が「それ、分かる。私もこんなにキチンと革になるって思わなかったもん。ラコタで売っている良い革そのまんまだもんね。写真じゃ分からないと思うし」との事。
そうだろうな。最初から出来ると信じて疑って無かったけど、でも自分の予想以上に良い革でした。
タツさん「だってティッシュ並みの厚さだって聞いてたからぁ」
そうそう。本当、端なんかティッシュですよ(笑)。

写真はうちのアジサイ。よく見たら10ミリくらいのオオカマキリの子供が居たりして。
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by oglala-beads | 2007-06-30 18:01 | 素材関連

つまりは自分自身なので

一頭目の鹿から取れるMedicine Necklace Porchを計算したら、まあ、あと20個ぐらいという結果。革一頭の金額を出して計算したら・・・豪快な赤字やないか!・・・いかんとも、し難いね。近いうち、価格変更があるかもしれません。

三頭目、今日出荷らしい。明日到着。
ちなみに、三頭目からは、鞣しに関しては、余程変わった事が無い限り、書かないと思います。

自分で鞣した革は、やはり最高でした。他の人からしたらコントロールしにくい革かもしれないんだけどね。僕自身の性格の短所が、見事な個性になっている、そんな感じです。僕のビーズ細工自体が、性格の短所を個性にしているような部分があるので、やはりマッチングが最高なのでしょうなあ。
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by oglala-beads | 2007-06-27 14:03 | 素材関連

The Oglala Deer Skin

自分でなめした革を初めて使った。
思った以上に薄いが、案外と腰があって土台のヘタリが少ない。
Medicine Necklace Porch等の小型袋物にピッタリかもしれない。
理想はもう少し厚いことなのだが、腰があるおかげで技術でカバー可能な範囲だ。
なにより、今はもうアメリカから入らなくなってしまった、僕のファミリーが使っていた革と本当に同じ癖に仕上がっていたので笑ってしまった。
多分、最後、革を柔らかくするステージの手順が同じなのだろう。そして、その革を鞣していたショショーニ族のおばあさん、かなりの年季と聞いているが、下手というか適当だったのだろう。でも、その下手さ、適当さこそ、僕が求めていた革なのだ。
つまり、今後の課題は、いかにして下手なままでいるか(笑)。これである。
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非常によい雰囲気に仕上がった。

初物は、この鹿を解体してくれた、タツさんに。

関連記事作業日誌6月25日2007年「素材変更のお知らせ」
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by oglala-beads | 2007-06-25 17:49 | 素材関連

鹿について

今度なめす鹿の皮は、日本の鹿です。

鹿と一口に言っても、色々と種類があります。今日は、鹿の種類について書こうと思います。

現在日本で出回っている鹿革は、ほとんどがアメリカ、中国、ニュージーランドの鹿です。そこで取れた鹿の原皮を輸入して、日本でなめしたり、第三国でなめしたりして製品化しています。

各国の鹿はそれぞれ種類が違い、革材料としても、何に使うかで向き不向きがあります。詳しくは、僕も愛用させて頂いております、四国の鹿革手袋メーカー、株式会社 鈴鹿さんのウェブ・サイトで詳しく紹介されていますので、こちらをご覧下さい。

日本では鹿は食用として一般的でなく、駆除数も大した数ではありません。そこで日本でとれる鹿の皮は、殆どが革として利用される事はないそうです。

そこで、日本の鹿は、もしかするとなめしに向いていないのではないか?という不安が生まれます。ということで調べてみました。

・・・まあ、結論から言うと、やってみないと分からないということだったのですが(笑)、「日本の鹿を鞣す」ということに関しては資料がものすごく少ないですね。鹿革の鞣し自体、相当昔(17世紀頃)から輸入原皮に頼っていたみたいです。弥生時代以降、鹿は神の使いとして神格化された影響でしょうか。そういえば「秋田マタギ聞書」(武藤 鉄城)での阿仁のマタギの話をどれだけ読んでも、アオジシ(カモシカ)の話は頻繁に出て来ますが、鹿の話は出て来ません。

ところで面白い事に、弥生時代以降、神格化された鹿ですが、縄文時代は単なる食料等、家畜的位置づけであったと見られているらしく、当時神格化されていたのはイノシシであった様です。狩猟採集の民であるアイヌ民族でもそれは同じである様です。この辺りの詳細は『ウィキペディア(Wikipedia)』の該当ページに詳細が載ってますので、リンク先中程の「古代日本の鹿狩り」項目をご覧下さい。

話はそれましたが、ニホンジカのなめしの難度。古代〜中近世に至るまでの間、日本に於ける鹿の種の変異がそれほどあったわけでは無い様ですし、鹿の脳漿鞣しは6〜7世紀には日本に伝わり、広く行われていた記録もありますので、「やってやれないことはない」と思います。ただ気になるのは、ニホンジカの鞣しはアメリカの鹿に比べて難しいとの記述を数点見つけた事。そのすべてがアメリカのオジロジカや、その亜種と比較しての事でした。

ニホンジカは種別でいうと、アカシカ(Cervus)の部類に入り、オジロジカ等の北米の鹿はOdocoileusの部類に入ります。CervusはOdocoileusに較べて皮が薄いとの事ですが、アメリカの鞣し職人の友人達に聞いたところ、アメリカでのCervusであるワピチ(いわゆるエルク)の皮は、オジロジカに較べて薄いという事は無いそうです。ただ、オジロジカよりも大型であるが故に皮を構成する繊維が粗く、そのことにより、表皮(Epidermis)を取り去った後は破れやすいらしいです。

アメリカでのCervusは大型のワピチで、これはオジロジカに較べてかなり大型の鹿なのですが、日本のCervusであるニホンジカはそれほど大きくなく、ニホンジカ最大の亜種であるエゾシカ(Cervus.Nippon.Yesoensis)でさえもオジロジカと良い勝負位です。
つまり、大きさにより皮の構成繊維が粗いという事は無いと思われますが、もしかすると元々CervusはOdocoileusに較べて構成繊維が粗である可能性はあります。

ここでニホンジカについて簡単にまとめておきます。現在ニホンジカには地域による7亜種があり、北に行く程、個体は大きくなります(ベルクマンの法則)。ニホンジカといいますが、実際には日本固有種ではなく、日本の周辺国にも生息しています。
房総半島のキョンはまったくの別種で、種で言うとMuntiacusに分類されます。
また、カモシカは別名「羚羊」と呼ばれる様に、鹿よりは牛やヤギに近い仲間です。

今度タツさんより送られて来る鹿は、このニホンジカのうち、ホンシュウジカに入ります。

参考:ニホンジカの属するアカジカは、食べるにはオジロジカ等よりも美味しいそうです。

参考2:エゾジカは1990年以降、爆発的に増え、現在では社会問題となっているそうです。駆除されても皮は殆ど利用される事なく、破棄されているらしいです。こういった皮を鞣して使う事で資源の有効活用にもなると思われます。ちょっと興味があるので、今後の課題として、各関連機関とも連絡をとってゆこうと考えています。御興味ある方、エゾジカ協会のウェブをご覧下さい。


ここで、アメリカの鹿についても、簡単にまとめておきます。

White tail Deer (Odocoileus Vieginianus) アメリカ全土に分布
Mule Deer (O. h. hemionus) アメリカ西部、大平原地帯
Black tail Deer (O. h. Columbianus)- ミュール・ディアの種ー 西海岸周辺


日本の鹿は、諸外国のものに比べて、外敵があまり居ないのでコンディションもとても良いのでは無いかと思われます。今度の鹿の脳漿鞣しに成功して、その後の展開を色々と考える事が出来れば、非常に嬉しいです。
出来れば日本のビーズ細工師で組織を作って、自分たちの鹿革を、自分たちで鞣す事が出来る様になれば、上のエゾジカの項目で述べた様な社会貢献も出来、ビーズ細工師の社会的地位向上、さらには細工師個人個人の質の向上にも役立つのでは無いかなと考えています。
共感して下さる方、ご連絡頂けたら幸いです。
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by oglala-beads | 2007-02-10 14:17 | 素材関連