アンティーク・ヴェネチアン・ポーチ


本日、作業日誌にデッドストックのアンティーク・イタリアン(ヴェネチアン)ビーズで作った、新作ポーチを掲載しました。これはいわゆる一点物扱いの商品であり、追加生産等には応じられません。OGLALA-WEB上での販売ですが、卸にも対応しております。今後、時間を見付けて、こういった作品制作を増やしていきたいです。
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写真では白が綺麗に出過ぎて、チェコとの違いが伝わらないかな?出来れば工房で、手に取って購入して欲しいです。

このポーチを作った最初のきっかけは、数年前にアメリカの企業からイタリアン・グラス・ビーズのデッドストックの年代物の引き合いが来た事でした。アンティークのイタリアンはストックしているビーズ屋もアメリカには数件ありますが、過去のインディアン達のクラフトをほどいて販売しているものが多く、僕は伝統文化の保護的観点からあまりそういったものには手を出さずにいました。
恐らく二度と無いチャンスに、資金が無かったにも関わらず、結構な量を仕入れました。それ以来、イタリアンで無いと駄目、といえる商品に何度も挑戦して来ました。しかしながら、その度に上手くいかずに作ってはほどく、の繰り返しでした。
どうしてもビーズに使われてしまって、「これだったら現代物のチェコで良かったんでないか?」というものしか出来ませんでした。
以来、「いつか・・・」と思いながらもアンティーク・イタリアンという必然性が出ている作品を生み出す事が出来ず、仕舞い込んだ状態でした。

「アンティーク・イタリアンである必然性」の基準は、各作者によって違います。インディアンや白人等の、ある程度以上の腕を持った作家でアンティーク・イタリアンを使う人達にも、その解釈は色々あります。
恐らく、僕の基準は彼らの中でも最も厳しいものではないか、と思います。

1、他のビーズを使っても同じ雰囲気になるものは不可。
2、アンティーク調になってしまうものは不可。
3、アンティーク・イタリアン(ヴェネチアン)独自の色の世界観を出す。

この3つです。
実際にやってみると分かりますが、これは三つとも、とても難しいことです。1と3はほぼ近い意味の様ですが、これも実際にやってみると別の事項であることが分かります。また、2ですが、実際にアンティーク調にするのも、技量が無いと難しいのですが、そういったレプリカを作る事には個人的に価値を感じないので、むしろオリジナルが作られた当時の姿に近いものを作るというのを大切な基準に据えた訳です。

使いたいけど、使えないという状況を打破した一つのきっかけが、FUNNYのIMP店の担当者用に作ったモカシンでした。リクエストとして「チェコの白は綺麗すぎる。もっと汚い白がベースで、ラコタの伝統柄バリバリのものが欲しい」というものでした。そこで深く考える事をせずに、ラコタの意匠をそのままに取り込んで制作したところ、割合上手くいき、なんとなく感じるところがありました。
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次に、担当者のそのモカシンを見たIMPのお客様から「同じものを」というリクエストが入り、全く同じものを制作しました。ところがなかなか上手くいかず、相当な苦労をしました。何故苦労したのか、何故上手くいかなかったのかを考えていくうちに、なんとなくイタリアンとチェコの違い、いや、むしろ個々の違いではなく、使う上での作者側の都合での違いが分かってきました。

それは簡単に言うと、チェコはチェコの使い方があり、ヴェネチアンにはヴェネチアンの使い方があるので、どちから一方の技法やノウハウは、もう一方には通じない、という事でした。

分かりやすく例を挙げると、例えばチェコビーズでポーチを制作する場合、大きさに応じて革自体にグラフの様に縦線と横線をチャコペンで入れて、その升目通りに決まった数のビーズを入れていきます。もちろんチェコビーズにも色によってもロットによっても大きさや形にばらつきがあるので、升目と個数はあくまでガイドラインであり、実際のところは一定していません。しかし、まあ、大体の基準としてこの升目はチェコの場合大切です。
ヴェネチアンの場合、この升目がまったく意味を成しません。あらかじめ個数を計算して模様が、どれ位の大きさのものを入れたら良いかということを、チェコの様には計算出来ないのです。それをやろうと思ったら、一回試しにビーズをやってみて、大体の検討をつけた後、やったビーズをほどいてもう一度やり直す、といった作業が必要でした。
しかもその作業は、全く同じ物を作るということであっても、一つ毎にやらなければ駄目でした。

そういった意味で、二度目のモカシンが上手くいかなかったわけです。
また、「一点物」でなければならない必然性も分かって頂けると思います。

さらに、こういった違いが分かった上で考えると、歴史的に見ても第二ビーズ・ピリオド(居留地生活が始まってから現代まで)以降、柄が複雑化していった理由の一つに、それまではヴェネチアン主体だったビーズにチェコが入って来た事もあったことが分かります。もちろん、第二ビーズ・ピリオドは居留地入りして以降であり、制作に時間を取れる様になったことや、対外的に販売する様になって、市場のリクエストに応えていったこと、またトレードで入って来たコーカサス・ラグの影響も通説通り大きいと思いますが、チェコビーズ以降、制作のスタイルが全く変わって、通常女が作る物だった幾何学模様を男が作り出した事も納得出来ます。

上は一つの例であり、その他にも僕が「ヴェネチアンの必然性」に掲げた各項目をクリアするためには、本当に色々なヴェネチアン独自のノウハウが必要でした。そのすべてを会得した訳ではないので、今後も本当に苦労が予想されます。しかし、作りたい物は沢山あるので、今後も適時、ヴェネチアンの商品を発表してゆきたいと思います。


このポーチですが、10月7日(火曜日)からOGLALA-WEBで販売を開始したいと思います。
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by oglala-beads | 2008-10-05 14:41 | 仕事関連
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