ディスティニー

農道の突き当たりで犬達を放した。めいめい、好きな方へ散ってゆく。杉林の中でニイニイゼミが鳴いている。畦に腰かけてスピッツ達がフワフワと日差しを泳いでいるのをみながら、眠気に身を委ねた。昨夜はよく眠れなかった。日本時間の今夜遅くにかかってくるはずである電話のためである。この一週間、ずっとその電話について考え、準備してきた。いや、もしかすると私の半生は、この電話を受け取る為の準備であったのかもしれない。

川を海亀のように大きな亀が泳いでいる。こちら岸に上がろうとして私に気付いて引き返した。

「海亀だよ、海亀。こんなところに」

自分の声で目が覚めた。
スピッツの一匹は私の腰に、スピッツのもう一匹は反対側の足にくっついて眠っていた。
川向こうに観光客らしい車が停まっており、子供を連れた夫婦がこちらを見ていた。
私は鼻白んで立ち上がり、指笛を一つ鋭く吹いて歩き出した。山際の用水路で蛙を追っていた猟犬が全速力で合流してきた。
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by oglala-beads | 2014-04-30 12:32
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